もちろん宿でも“ひと波乱”、最悪の気分で朝を迎える
「宿は素泊まりだったんですが、夜寝る時もひと悶着(もんちゃく)あったんですよね。要は
電気を消すか、点けたままにするかの攻防戦。もともと、彼が電気を点けっぱなしで寝る性質なのは、お家デートで知ってましたけど、その時は彼の家だからって私は遠慮してたんです。でも、さすがにこの日は
旅費を自分で出してる分、譲れませんでした」
翌朝目覚める頃には、もう二人の間に流れる空気は最悪。朝食もほぼ無言で終えたそうです。しかしその後、詩織さんとSが決定的な破局を迎える出来事が起こりました。
「もうどこにも寄る気分じゃなくて、チェックアウトしたらすぐに帰ろうってことになったんです。ただ、電車の時間がちょっと微妙で、時間を潰すためにたまたま近所にあったバッティングセンターに寄りました」
その選択が悪かった……。Sはあまり運動神経が良くなかったのか、全く打つことができず。反対に詩織さんは、子どもの頃に野球チームに入っていた経験があり、ホームラン級の打球をバコバコ打ちまくっていたそう。
「それを見て腹が立ったのか、
彼が無茶苦茶にバットを振っていて、あげくに自打球が足の親指にガツーンと当たってしまったんです。歩けないくらいのダメージを負ってしまって、急いで病院に行ったら骨折してました。彼はしきりに『詩織が上手すぎるのが悪いんだ』とか言ってました。もう何もかも無理と思って、
旅行の後はすぐに別れてしまいました」
その後、Sとは学内ですれ違っても挨拶すら交わすことのない関係となった詩織さん。新しい彼氏もでき、平穏な日々を過ごしていた彼女は、Sのことは黒歴史として記憶から消されつつありました。しかし、大学4年の夏に思いがけないSの襲来があったのです。
「ちょうど夏休みで大学の授業もなくて実家で寛いでいたところに、Sが急に電話をしてきたんです。私に慰謝料を請求したいって。『
お前のせいで、俺の人生はめちゃくちゃだ!』って電話口で叫びながらブチ切れてました」