試合の合間にプールサイドで編み物に熱中する姿が話題になった男子シンクロ高飛び込みで金、男子高飛び込みで銅と、2つのメダルを獲得したイギリス代表トーマス・デーリー選手(27)も、LGBTQアスリートとして並々ならぬ想いを持って東京オリンピックに参加した一人。
勝利を決めた後、デーリー選手は記者団に対し、「私は同性愛者であり、オリンピックチャンピオンでもあるということを誇りに思っています」とコメント。
「若い頃は自分(がゲイであること)を理由に、何も達成できないだろうと思っていました。 オリンピックチャンピオンになることで、誰もが何者かになれることを証明できたと思います」と語りました。
『ワシントン・ポスト Washington Post』によると、デーリー選手は2012年のロンドンオリンピックで銅メダルを獲得した翌年、自身のユーチューブで男性と交際していることを発表。
2017年に映画『ミルク』や『J・エドガー』を手掛け、アカデミー賞受賞歴もあるアメリカ人の人気脚本家ダスティン・ランス・ブラック氏(47)と年の差婚。2018年には代理母出産で息子を迎え、話題の編み物もブラック氏からすすめられて始めたものなのだそう。

レオナルド・ディカプリオ主演映画『J・エドガー』ワーナー・ホーム・ビデオ
2016年のリオ五輪の直後、ミスのために銅メダルで終わって落ち込むデーリー選手に対し、夫のブラック氏は「たぶん今回は金メダルを取る運命にはなかったんだ。君の息子が金メダル獲得の瞬間を見ることができるようにね」と励ましてくれたといいます。
その言葉の通り、東京オリンピックでは念願の金メダルを獲得。3歳になる息子のロビーくんは、パパのカッコいい姿を目に焼き付けてくれたことでしょう。
また、デーリー選手は、家族の愛に支えられて飛び込み台に立てることをとても幸運だと語る一方で、LGBTQを語ることで死刑となる10の国が東京オリンピックに参加していたことも指摘していました。
「世界にはまだ厳しい状況で生きている人が大勢いることを知っています。カミングアウトして素直に話すには時間がかかりますし、(その後の生活が)非常に困難で恐ろしいものになる可能性もあります。
特にスポーツでは、ファンがそれを受け入れてくれない可能性だってあるのですから」