かくして、収録の当日。人形が怒っていないか、呪われるんじゃないか、もし壊れてしまったらどうしようなどと極度の緊張をもってスタジオ入りしたもちづき。私が怪談収集家の田中俊行さんに人形のいわれや過去のエピソードを語る中、番組ナビゲーターである「
死太郎くん」が人形を霊視してくれました。
60数年という長い時を母と供に在るこの人形は、いったい何なのか……。しかし、その正体は私が想像していたものとは全く違っていたのです。
この人形に憑いているのは、顔がしもやけで真っ赤になっている小さな男の子。「死太郎くん」からは「お母さんは雪国で生まれた方では?」と聞かれたのですが、まさに母は北陸の出身。そもそもこの人形は、母が幼い頃に年の離れた姉が勤めていたオモチャ屋さんで売れ残ったものを貰ってきたものだと聞いていました。間違いなく人形も雪国出身です。
そして、
以前に友人からも指摘されたように、邪悪な存在ではない模様。人形が母を守っているというのは確実ですが、
ただただ無邪気に母を好いているだけの子どもなんだそうです。「死太郎くん」から「家でずっと大事にされてたからだよ。いつもお菓子とかあげてない?」と聞かれたのですが、後に母に確認したら毎日お水と子ども用の駄菓子をお供えしているそうです。
しかも、今回私が持ち出したことについては、「生まれて初めて、うちの母の手から離れたお出かけ」という感覚だったらしく、田中俊行さんの
膝の上に乗せられた時にもすごく喜んでいたとのこと。それを聞いたら瞬間、私の中での人形への恐怖心が一気に薄れてきました。怖さのあまり40年以上も触ろうともせずにいたことに申し訳なさすら感じました。そして、
無意識のうちに人形の頭を撫でていました。「今までごめんね、ありがとう」の気持ちを込めて。