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「湯シャン」って頭が臭くならない?髪の汚れはお湯だけで落ちるのか

 毛髪診断士の元井里奈です。  巷(ちまた)でちょっとした話題になっている「湯シャン」。洗髪を、シャンプーを一切使わずにぬるま湯のみで行うというもので、シャンプーの洗浄成分による洗いすぎを防ぎ、頭皮の健康回復をはかるために有効とされています。  せっかく人類が発明した便利なシャンプーをなぜ使わないのかというと、シャンプーでの「洗いすぎ」による弊害がささやかれるようになったからです。
髪の変化

筆者は湯シャンをしばらく試したあと、「2日に1回の洗髪(もう1日は洗わない)」に移行しました。かれこれ5年ほど経ちますが、頭皮と髪のコンディションは自分史上最高です!

 この記事ではそんな湯シャンについて「湯シャンって臭くならないの?」「汚れはちゃんと落ちるの?」といった、湯シャンにまつわる素朴な疑問にお答えします。また、湯シャンの詳しいやり方についても私の経験を踏まえつつ解説したいと思います。

湯シャンの効果は「頭皮の健康回復」

 昔はあまり話題にならなかった、女性の薄毛。薄毛と言えば、男性だけの悩みだったはずなのに、最近は女性も髪のボリュームダウンや薄毛に悩むようになり、女性芸能人のCMで「ヘアロス」という言葉が使われるようにもなりました。  どうしてそうなったのか? それには様々な原因が存在しますが、その一つが「洗いすぎ」と言われているのです。  シャンプーには皆さんが思うよりも強力な洗浄成分が入っており、毎日それを使って頭の汚れを落とそうとするがために、必要な皮脂まで奪いすぎてしまい、頭皮が乾燥したり、弱ったりしてしまう、そのせいで健康な毛髪を育めなくなっているのではないか? という話です。これは科学的に明らかにされたことではないのですが、筆者個人としては、ありえると思っています。
シャンプーの泡

シャンプーの泡

 そうであれば、シャンプーを毎日使うのをやめてみよう! と、思いついた賢者がいて、「シャンプーなし洗髪」をやってみたらみるみる髪が元気になった。そこから広まったのが「湯シャン」というわけです。  なので、その効果はずばり、「頭皮の健康回復」と言えるでしょう。今生えている毛髪そのものというよりは、頭皮、そしてそれが産み出す未来の髪の毛のため、というところです。

湯シャンのやり方。お湯の温度に注意

 さて、この「湯シャン」。どうやってやるのかというと、いつもの洗髪の流れで、シャンプーを使わずお湯だけで頭皮と髪を洗う、というだけです。お湯の温度に特に決まりはないのですが、温度が高すぎるとお湯だけでも脱脂してしまいますので、38度前後のぬるま湯が良いでしょう。  洗い終えた後は、いつも通りトリートメントをして、すすいで、乾かす、という流れです。  湯シャンでもシャンプーを使う場合でも共通なのですが、洗髪をする際のポイントは“「頭皮」も含めてしっかり洗うこと”です。これを怠ると臭いが残ってしまう原因になるので注意してください。
シャワー・シャンプー・女性

写真はイメージです

湯シャンの頻度はどれくらい?

 湯シャンの頻度ですが、髪の毛オタクの世界には「毎日湯シャン(シャンプーからの完全な離脱)」という強者もいます。しかしこれは、筆者もチャレンジしましたが正直かなりハードルが高いです。  じつは筆者自身が推奨&実践しているのは、「2日に1回シャンプー洗髪(もう1日は“洗わない”)」なのですが、これをやるのに抵抗がある方が多いので、初心者の方にはまず、「2日に1回シャンプー洗髪、もう1日は湯シャン」にチャレンジしてみては? と言っています。慣れてきたら、次は「2日に1回シャンプー洗髪(もう1日は“洗わない”)」にチャレンジ、という具合です。  ちなみに筆者はより上を目指し、今では3日に1回シャンプー洗髪(2回は洗わない)に時折チャレンジしています。が、やはりまだ頭皮が痒(かゆ)くなったりすることがあるので、シャンプーからの完全離脱は、ほど遠い夢です。

湯シャンのリスクは? 泡がない分、髪を傷めやすい

 実は筆者は湯シャン(2日に1回シャンプー洗髪、もう1日は湯シャン)をしばらく試したあと、早めに次の段階である「2日に1回洗髪(もう1日は洗わない)」に移行しました。かれこれ5年ほど経ちますが、頭皮と髪のコンディションは自分史上最高です。その間に子どもを二人産んでおりますが、産後よくある頭皮のかゆみもなく、産後抜け毛もものすごい勢いで回復しました。
産後抜け毛の回復

産後抜け毛も、ものすごい勢いで回復!(写真は筆者)

 なぜすぐに湯シャンを卒業したかというと、湯シャンは洗髪時に髪を傷めるリスクが上がるからです。シャンプーの泡があれば、髪の毛同士の摩擦や、指や爪で髪をひっかけることをかなり防げるのですが、泡がない分、相当気を付けていないとモロに摩擦やひっかけが発生します。  先述した、湯シャンは今ある毛髪のためというよりは、頭皮と未来の髪のため、という言葉はここに理由があります。私は今ある毛髪を傷めたくない気持ちから、湯シャンはそこそこに、卒業したというわけです。

湯シャンで「臭い」は気にならないの?

 皆さん、湯シャンを想像するだけで、随分汚いと思われるようで、「臭いがしないの?」とよく聞かれます。そうですね、確かに湯シャンをした翌日は、頭の匂いを至近距離で嗅ぐと、「シャンプーの香り」ではなく、「残ったシャンプーの香りと体臭の混合臭」がするはずです。  その臭いが「悪臭」になるかどうかは、湯シャンの頻度やその方の頭皮のコンディションによるものと思います。自分では悪臭かどうか分からないはずなので、信頼のおけるパートナーにジャッジしてもらいましょう。
カップル

写真はイメージです(以下同じ)

 ちなみに私も自分の頭皮臭が気になったので、いま夫に私の頭の臭いをクンクン嗅いでもらったら、「タンスにしまわれていた洋服の匂い」がするとのことでした。良しとします。

湯シャンで汚れはきちんと落ちる? フケは出ない?

 もう一つ聞かれるのが、汚くない? フケが出ない? という不安の声です。実は、シャンプーを使う場合でも、最初に「予洗い」(お湯だけで頭を洗う)という工程を行うのが良い洗髪方法なのですが、この予洗いだけで汚れの70~80%程度は落ちると言われています。 頭皮の汚れ なので、私が初心者の方に推奨する「2日に1回湯シャン(もう1回はシャンプー洗髪)」くらいでは、そこまで汚くありませんし、フケも出ないはずです。  フケが出る場合は、いきなり毎日湯シャンにチャレンジしてしまったり、そうでなくてもそもそもの洗髪手技に問題があるのだと思います。指が頭皮まで届いておらず、外側の髪だけを洗っていたり、すすぎが甘かったりすると、シャンプーを使っていてもフケが出ることがあります。 【関連記事】⇒「髪を濡らしてすぐシャンプー」はNG。0円でできる“2つの準備”で美髪に

湯シャンのメリット。薄毛や抜け毛の悩みには有効

 というわけで、湯シャンのメリットは、頭皮の洗いすぎを防いで乾燥や皮脂によるバリア機能の消失を防ぐこと、未来の髪を育む頭皮を健康にすることが挙げられます。これは、薄毛や抜け毛に悩んでいる方にとってはとても大きなメリットです。  もう一つはシャンプーの節約(!)でしょうか。こだわりのシャンプーを使っていると高価だったりするので、家計が助かります。
シャンプー シャワー

お湯で頭を洗うだけでも、大半の汚れは落ちる(筆者)

湯シャンのデメリット。洗い方には注意が必要

 デメリットは、頭皮のコンディションをチェックしながら行わないと、知らない間に悪臭がしていたり、そもそもの洗髪手技が間違っているとフケが出ることもある、ということ。そして何より、気を付けて行わないと今ある毛髪が傷む、ということです。  このデメリットには見逃せないものがありますが、大人女性は40歳頃から皮脂の分泌量が減っていきます。毎日のシャンプー洗髪は頭皮の乾燥という観点からおすすめできませんので、この湯シャンをシャンプー頻度の見直しに役立てていただけたらと思います。 【関連記事】⇒シャンプーは「指のつかい方」で汚れ落ちが激変。正しい方法をプロが伝授 【関連記事】⇒あなたの髪、本当に乾かせてる?意外と知らない“髪が乾いた”OKサイン 【他の記事を読む】⇒連載「オトナ女性の美髪講座」の記事一覧はこちらへどうぞ <写真・文/元井里奈>
元井里奈
東栄新薬株式会社/取締役。毛髪診断士®/サプリメントアドバイザー/メノポーズ(更年期)カウンセラー。慶應義塾大学卒。髪に悩む女性のためのサプリメント「美ルート」をプロデュース。毛髪、栄養学、女性ホルモンに関する専門知識をもとに、ヘアケアコラムの監修や執筆も行う。2児を育てるワーママでもある。Instagram:@rinam.0922、Twitter:@rinamotoi、ブログ「ワーママ毛髪診断士が教える、35歳から始める育毛・美髪ケア
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