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山﨑賢人はラブコメ映画を救った“実写化王子”だった。今だから振り返りたい作品群

 2021年11月12日に俳優・山﨑賢人の「2022年カレンダー」が発売された。これまで以上に大人の魅力を漂わせ、成長した姿を披露している。
『山﨑賢人カレンダー2022』(SDP)

『山﨑賢人カレンダー2022』(SDP)

 2022年12月にはNetflixオリジナルドラマ『今際の国のアリス』シーズン2の配信が発表されており、人気・実力を兼ね備え、常に注目を集め続けてきた山﨑だが、彼を語る上では、やはり「実写化王子」のイメージを抜きにすることはできない。 「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健は、2010年のデビュー当時から山﨑を追いかけてきた。実写化王子としての山﨑を追想しながら、次なる飛躍のチャンスを探る。

2010年代を駆け抜けた実写化王子

 実写化王子・山﨑賢人の勢いは凄まじかった……。2012年の『今日、恋をはじめます』では、主演の松坂桃李の背中を追いながら、同級生に恋する男子高校生を等身大の演技で好演。実写化王子としての大ブレイクのタイミングを待っていた時期だった。  そのときが来るまでには時間はかからなかった。2014年に剛力彩芽とW主演した映画『L・DK』では、王子様キャラの久我山柊聖役がはまり役となり、同じ屋根の下、共同生活をするようになった、剛力演じるヒロインをからかいながらも、度重なる壁ドンを炸裂。元祖壁ドン俳優の誕生であった。  続く『ヒロイン失格』(2015)では、桐谷美玲扮するヒロインを巡って坂口健太郎と取り合い、制服に浴衣、とにかくすべてが完璧なプロポーションでイケメン男子高校生を演じ切った。  そして決定打となったのが二階堂ふみとのW主演作『オオカミ少女と黒王子』(2016)だ。本作で山﨑が演じた超ドSの王子様キャラは、実写化王子としてのひとつの集大成となり、山﨑のフィルモグラフィーを代表する名演として記憶されている。  こうして2010年代の山﨑は、空前の漫画実写化ラッシュの中で、興行的な大成功を収めた作品に恵まれながら、時代を駆け抜けるようにして毎年スクリーン上で輝きを放った。

実写化王子であり続けることの難しさ

『オオカミ少女と黒王子』DVD (ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント)

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 少女漫画を原作とする実写化作品(いわゆる「キラキラ映画」)は、日本のラブコメらしい突飛であり得ない状況設定が時に批判の対象となることもあった。  ラブコメ好きの筆者からすると、朝の登校時間に通学路を急ぐ男女が何かの拍子で衝突し、それをきっかけに蜜月関係になっていく過程のドラマこそがラブコメの醍醐味であると思うのだが、リアリズムに反する場面に眉をひそめる人も多いのは事実。  そこでラブコメ実写作品に迫られる選択肢はふたつある。ひとつはそうした突拍子もない設定で2次元の漫画世界を再現するように振り切ってしまうこと。それは例えば、2.5次元舞台のような誇張されたキャラクターのビジュアル表現となる。  もうひとつは、2次元世界を現実の3次元世界に移し替えるために、リアリズム志向でキャラクターの感情を丁寧に描いていく方向性だ。
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徐々に演技派俳優の道へ…
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