「裸の心」をののかちゃんが自分で覚えたのか、親を含めた周囲の大人が教えたのかはわかりませんし、当然子供が大人の歌をうたってはいけないと法律で定められているわけでもありません。近しい身内の中だけで「裸の心」を歌う程度なら、おませさんねぇ、ぐらいで済む話なのでしょう。
6月19日には単行本『歌って 笑って こねこと遊んだ ちいさいののちゃん』(講談社ビーシー)も発売に
ただし、プロの歌手として常時不特定多数の目にさらされる3歳の児童となると、話は変わってきます。あのかわいらしさも、たどたどしさも、元気のよさも、何も理解していない純粋さも、全て彼女の商品価値として公に消費されてしまう。ののかちゃんの歌う「裸の心」は、好むと好まざるとにかかわらず、よこしまに値踏みされているのですね。
そんな傾向に歯止めをかけるためにも、大人がどこかで線を引いてあげないといけない。「裸の心」に露骨な表現がないからこそ、余計に引っかかるのです。
同じ『しゃべくり007』の中で、小田和正の「たしかなこと」も披露したののかちゃん。これも、あいみょんとは違った意味で、やはり何かがいびつなのでした。
<文/音楽批評・石黒隆之>
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter:
@TakayukiIshigu4