そこから月日は流れ、夫とは可もなく不可もないような日常生活を送ってきた。息子は大学を出て就職し、配属先は関西だったので家を離れた。その直後、夫は倒れたのだ。定年にはなっていたが仕事を継続、会社に着いたとたんに倒れたのだという。
「私は夫を許せないまま、息子がいるから離婚には踏み切れなかった。でも息子が就職し、夫が65歳で仕事をやめたら別れようと本気で思っていました。
ただ、以前のような体ではなくなった夫を見捨てることができなくて……。愛でも情でもないんです。ここで見捨てたら世間がうるさいでしょう。それに対抗できるほど私は強くない。息子も『おかあさん、大変だろうけど僕が東京勤務になるまでがんばってよ』と言われてしまって。息子はあの一件を知りませんから」

まだ50代になったばかりなのに、この先はずっと介護の日々なのだろうかと思うと気が滅入(めい)るとサトコさんは言う。
「夫の不倫が許せないと思ったら、徹底的に話し合うか離婚するか、とにかく自分の納得がいくような道を選んだほうがいい。私のようにこれからずっと後悔しながら生きていくのはつらいですから」
サトコさんは疲弊したような表情でそう言った。
―シリーズ「不倫、その後」―
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<文/亀山早苗>
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