キジトラの「みみい」は1歳未満のメス。岐阜市でレスキューされた。人なれ特訓中で、譲渡の際は仲の良いオスの茶トラと2匹一緒
’23年に事業開始が予定される「高齢者猫シェアリング」は画期的な試みだ。猫の寿命は長いと20年。高齢者は、猫を終生飼育できるかが悩みの種となる。
「家にいる時間が長い高齢者の方に保護猫を預け、猫との生活を楽しんでいただくと、生活にメリハリがついて予防医療にもなります。定期的に訪問して飼育に必要な物資を届け、家事・買い物代行も行いつつ、高齢者・猫ともに見守って孤立化を防ぎます」
独居の高齢者が多い都市部などでは、取り入れたいと思う自治体も多いのではないか。河瀬氏が目指す、全国への展開が期待される。
孤立しがちな人々のコミュニケーションを回復する求心力が猫にあることは、すでに実証済みだ。
近ごろ都市部で増えている猫付き賃貸物件、猫付きシェアハウスでは、日夜猫を巡る和やかな人間模様が展開されている。
東京都世田谷区の三軒茶屋にあるSANCHACOは、住人たちが保護猫の世話をする賃貸住宅で、会員制のコワーキングスペース、飲食店営業も可能なレンタルスペースを併設する複合施設。オーナーで、全国で地域活性化のプロジェクトに携わる東大史氏は、地域のコミュニティを保てるようにと、通りに開かれた構造にした。
「立ち寄りやすいようで、保護猫たちのごはんやトイレのお世話を、住人や近所の方が協働して行っています。LINEやオープンチャットを活用してその日の様子を共有したり、住人の方が猫たちのYouTube番組を作って動画を公開するといったオンラインも活用しています。猫という共通の話題があるため、普段から住人同士で話をしているシーンをよく見かけますね」
コワーキングスペースとレンタルスペース、賃貸住宅からなる複合施設「SANCHACO」。施設内を保護猫が歩き回る(東京都世田谷区)
猫好きが集まり、猫を中心としたコミュニティとあって、イベントスペースの活用も猫グッズを作ったりと和やかなもの。
「今後はシーシャ(水タバコ)など、チルなコンテンツをいろいろと取り入れていきたいです。意識高い系とは真逆な、ストレスフリーやゆるい感じの雰囲気を伝える企画をやっていきたいです」
三軒茶屋「SANCHACO」の猫たち