そこで、ふと、「インスタ楽しいよ」と学生時代の友達からLINEで聞いたのをきっかけに、育児の合間にインスタグラムをはじめた。それまでSNSはFacebookを少ししていただけ。そちらは本名でやっていたけれど、インスタではミラというニックネーム。自分の顔写真はアップせずお花の写真。プロフィールには都内の世田谷区在住であることと、カフェめぐりが趣味と記載。
既婚か未婚か、子供がいることなどは書かなかった。

「なんか、空想の世界で他人を演じている感じでインスタをやりたかったんです。投稿もストーリーズもそれほど更新していたわけでもなくて、でもたまに、出産前に行ったカフェの写真を載せたりしていました」
たまに知らない人がいいねをつけたり、コメントしたりと反応してくれるとワクワクした。あるとき、地元近くの自由が丘のカフェの写真をアップしたら、
「そのカフェの近くに住んでいます」という男性からコメントとDMが。帽子をかぶった横顔の写真。顔はわからなかったけれど、明らかに自分より若い男性だと思った。
DMのやりとりをするうちに、10歳年下であること、本のデザインの仕事をしていることがわかった。お洒落なカフェやショップをよく知っている彼。DMのやりとりがいつしか日課になり、自分の写真も送った。
可愛いねとほめてくれて、1か月もしないうちに「今度会おう」という話が出るようになった。
「まだ子供は4歳。でも、土日なら夫に子供を見てもらえる。友達の結婚式の二次会だけ招待されているという嘘をついて、彼と会うことにしました」
嘘が夫にばれないように、二次会風の服装ででかけた。自宅から遠い六本木のオシャレな居酒屋でデートをした。