『モービウス』ジャレッド・レトの吸血鬼にうっとり…過去の“異常な役作り”から読み解く
新たな吸血鬼俳優像
本作は、確かに吸血鬼映画なんだけれど、モービウス自体、科学技術によって吸血鬼的な超人性を手にした人間に変わりはない。
モービウスの人間性を象徴する場面がある。彼が船で傭兵たちの血を吸い尽くし、人間の姿に戻ると、それまで血の病によって痩せこけ衰弱していた肉体が嘘のように、たくましい姿に変化する。上着を脱ぎ捨て、あらわになった肉体美。船内に吹きでる水蒸気がまといつく官能的な瞬間。いくら血を吸っても青白いままの吸血鬼に対して、モービウスの顔色はすこぶる鮮やかになっているのだ。
モービウスが吸血鬼にメタモルフォーゼ(変身)するショッキングな恐怖より、新鮮な血によって健康的な褐色の肉体を得た逆メタモルフォーゼのほうが、驚きがある。『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(1994年)でのトム・クルーズ、「トワイライト」シリーズ(2008~2012年)でのロバート・パティンソン、あるいは筆者が偏愛する吸血鬼映画の傑作『処女の生き血』(1974年)のウド・キアなどなど、吸血鬼イケメンの美しさは、もちろん肌白の美点にこそあるのだけれど、ジャレッド・レトの美しさが引き立つのは、やっぱり健康的な褐色の肌色なんじゃないだろうか。
ということで、レトは、人間らしさが逆に魅力的な新たな吸血鬼俳優像をイメージ付けたということに、どうもなりそうだ。
ジェレッド・レトの異常な役作り
【公開情報】
『モービウス』全国の映画館にて公開中
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©2022 CTMG. © & TM 2022 MARVEL. All Rights Reserved.
『モービウス』全国の映画館にて公開中
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©2022 CTMG. © & TM 2022 MARVEL. All Rights Reserved.


