News

安倍元首相の後継者、94歳ゴッドマザーは甥を指名か。世襲批判に反論も

晋三氏は、成人後も母と2人で映画鑑賞

(画像:安倍晋三氏公式サイトより)

(画像:安倍晋三氏公式サイトより)

 こうした政治一族の強固な結束の他に、洋子氏と晋三氏の間には一般的な母親と息子の絆を超えた結びつきがあったといいます。ジャーナリストの青木理氏による『安倍三代』(朝日文庫)では、2003年に洋子氏が『文藝春秋』に寄せた手記を引用してこんなエピソードを紹介しています。 <晋三はよく「政治家にならなかったら、映画監督になりたかった」と言っていますが、小さいころから映画が好きでした。 (略)今でもちょっと暇があると近所のビデオ屋さんに足を運び、時には「一緒に観よう」と言って、私のところにやってくることもあります。多いのはアクション映画やサスペンス物。「いまのシーン、僕ならこう撮るな」なんて言いながら、一緒に観ているのですが、時々、私と趣味が違うことも……(笑)。>(『安倍三代』著・青木理 朝日新聞出版 p.224より)
青木理『安倍三代』朝日新聞出版

青木理『安倍三代』朝日新聞出版

 青木氏も<成人してからも母親と2人でアクション物やサスペンス物の映画を観るというのは、かなり風変わりな家庭>と書いているように、ふつうの感性だったら他人には隠しておきたいような話もサラッと語ってしまう異質さ。  権力闘争が命がけだからこそ、愛情の注ぎ方も濃密になってしまうということなのでしょうか。

「おじいちゃんを褒めれば、お母さんが喜ぶ」記憶を持ち続けた晋三氏

 この母の愛を得るため、晋三氏は少年時代にひとつのことを学んだといいます。 <晋三は洋子の愛情、なかでも男の子ならこの時期、誰しもそうだが、母親の温もりを人一倍求めていた。母・洋子への愛情は祖父・岸信介への思いに繋がっていく。「おじいちゃんを褒めれば、お母さんが喜ぶ」という幼少の記憶が、晋三にはずっと残っていたという。> (『絶頂の一族 プリンス、安倍晋三と六人の「ファミリー」』著・松田賢弥 講談社 p.14より)
松田賢弥『絶頂の一族 プリンス、安倍晋三と六人の「ファミリー」』 講談社

松田賢弥『絶頂の一族 プリンス、安倍晋三と六人の「ファミリー」』 講談社

 とことん人間臭い感情のやり取りを介して、代々に渡って権力が受け継がれていく。こうした構図において、岸信介の娘であり、安倍晋三の母であった安倍洋子氏。  いずれも“愛の起点”は洋子氏です。その発言が生々しく影響力を及ぼす理由を垣間(かいま)見た気がするのです。 <文/石黒隆之>
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4
1
2
3
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ