驚いた中西さんは、課長とA子さんのつながりについて尋ねます。
「どうやら俺の知らないところでその課長が簡単な入力とかをA子さんに依頼していて、それを俺や部署の上司には黙っていてと言われていたことがわかりました。
A子さんにはうちの部署でちゃんとすることがあるし、これはありえないと思って」
と、中西さんはまず怒りが湧いたそうです。

その課長がどうやってA子さんのことを知ったのかは不明ですが、
その日のことを思い出せば彼女に近づくためにわざわざ仕事を頼んでいる可能性は高いと思いました。
本来の依頼の筋とは違うことで、中西さんは考えた末に直属の上司に「○○部の○○課長がA子さんに勝手に仕事を頼んでいます。派遣の契約内容とは違うことだし、やめさせてもらえないでしょうか」と直談判します。
ところが、上司は「そのくらいのことならたいした負担にもならないだろう。
向こうも人手が足りないんだから、やってもらえばいいじゃないか」とまともに取り合うことはせず、A子さんにその課長の依頼も任せるよう中西さんに告げたそうです。
「A子さんは決して暇じゃないし、そもそも契約と違うことをやらせても何とも思わない上司には本当にがっかりしましたね」
悔しそうに話す中西さんですが、このことを聞いたA子さんは
「私のために、ありがとうございます。期間満了になるまでだし、何とかやっていきます」
としっかりした声で答えたそうです。