社長は「驚いた顔をしていたけど、最後まできちんと詳細を聞いてくれた」そうで、問題の課長に事実を確認すること、A子さんからも話を聞くことなどを約束してくれました。
次の日、A子さんから
「
派遣会社の上司に話しました。
『これはセクハラ』とのことで、会社からもこちらにやめるようお願いをするそうです」
と報告を受けた中西さんは、「これで事態が動くだろう」とほっとします。

その日のうちに上司から呼ばれた中西さんは、例の課長がA子さんを無理やり食事に連れていったことは本当なのか確認され、「俺も総務から『契約内容に別の部署の仕事はない』と言われたぞ」と苦い顔で話されたそうです。
だから言ったのに、と中西さんは呆れますが、課長がA子さんとふたりきりで社外で会ったことを認め、「たまたま駐車場で一緒になったから」と言い訳するのを
「用事があると言われたのにどうしてクルマに乗せたのか」と社長から詰められた話などを聞きました。
課長は中西さんの部署には出入り禁止となり、この日以降、姿を見ることは本当に少なくなったそうです。
「派遣の女性を無理やり食事に連れていったセクハラ親父」と社内で噂が流れ、「課長としての信頼はガタ落ちでしょうね」と中西さんは話していました。
A子さんについてはその後派遣会社から期間変更の申し入れがあり、元の契約よりだいぶ短くなったのは残念だけれど、それからはトラブルもなく順調に仕事をこなして終了となりました。
「
俺も社長から呼ばれたのですが、『これはあってはいけないことだ』とはっきり言ってくれたのがうれしかったですね。
すぐに動いてくれてよかったと思うし、信じてもらえたのはA子さんの仕事ぶりが良く素晴らしい人間性だったのもあるはずです」
最後、笑顔でこう話す中西さんは、社長への告発に踏み切ったことを「間違いじゃなかった」と胸を張って口にしました。
―シリーズ「あなたの周りの“告発”」―
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<文/ひろたかおり イラスト/とあるアラ子>
ひろたかおり
恋愛全般・不倫・モラハラ・離婚など男女のさまざまな愛の形を取材してきたライター。男性心理も得意。女性メディアにて多数のコラムを寄稿している。著書に
『不倫の清算』(主婦の友社)がある。