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男女共用のスクール水着が異例のヒット。開発秘話を聞いた「100校以上が採用したい」

 学校用水泳用品の老舗メーカー「フットマーク」(東京都墨田区)が、男女共用のスクール水着を今年6月に発売しました。 「男女共用セパレーツ水着」という名のこの商品は、上が長袖で下が膝丈のサーフパンツ仕様になっており、既に3つの公立中学校が導入しています。
異例のヒット。男女同じデザインのスクール水着、100校以上が「採用したい」

フットマークから発売された「男女共用セパレーツ水着」

 スクール水着としては全く新しい形のこの水着。開発の経緯についてフットマークの佐野玲子さんにお話を聞いてみました。

開発のきっかけは子どもたちの切実な悩みだった

――スクール水着として「男女共用セパレーツ水着」を作った経緯を教えてください。
佐野玲子さん

佐野玲子さん

佐野玲子さん(以下、佐野)「3年ほど前から、弊社の営業担当者が『ジェンダーやLGBTQに対応した水着がなくて困っている子どもがいる』という学校の先生の声を販売店さんを通して聞くようになったんです。ただ、当時はそのような声を聞いてもどんな形の水着を作ればいいのかわからない状況だったので、まずは学校現場にある声を集めようという話になりました」 ――3年前から既に話はあったんですね。 佐野「はい。それから3年の間、営業担当が様々な地域で多くの声を集めました。集まった一つ一つの声を聞いていく中で『着られる水着がなくて困っている』『人前で、しかも男女同じ空間で肌を露出したくない』という子どもの切実な思いがひしと伝わってきました。そのような声を聞き、私たちが作る意味を改めて社内で話し合い開発に踏み切りました」

子どもが安心して着られる水着を

――子どもの切実な声が開発のきっかけだったんですね。 佐野「ある小学校の先生が、水泳の授業を欠席する子に理由を聞いたところ『水着姿になるのが嫌だから』と答えた生徒が多かったそうです。『水着を着たくない』『なぜ自分の体を見せないといけないのか』という生徒たちの声に対し、先生と保護者とPTAが話し合い『水着を変えよう』と動いたそうです。  学校側の『子どもが安心して着られる水着を探している』という声が地元の販売店さんを通じ弊社に入り、開発した水着を試験的に導入していただくことになりました。現在その学校を含めた3校の公立中学校が導入してくださっています」 子どもが安心して着られる水着を――「男女共用セパレーツ水着」が長袖にハーフパンツという形になった理由を教えてください。 佐野「プールの授業では日焼け止め禁止という学校もあります。日焼け止めの成分でプールの水が汚れて循環器などに支障が出ないようにするためなのですが、紫外線量は昔よりも強くなっています。日焼け対策ができるように上半身はサンガード機能のついた長袖にしています。  ズボンに関しては、水中での動かしやすさを重視した形と丈にしています。膝丈であればお尻周りや太ももなど気になる部分も隠れます。長ズボンですとどうしても動きにくく着脱にも時間がかかります。水泳の授業は着替える時間が短いので簡単に着脱できる形にしました」 【関連記事】⇒「男女共用スクール水着」で子どもたちは生きやすくなるのか?まだまだ課題も
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“かなりこだわった”部分とは?
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