8年の不妊治療を経て“子なし”を選択した女性の胸の内「夫の言葉に救われた」
夫に離婚を提案、返ってきた言葉に救われた
ボレンズ「はい。当時の私は、“結婚したら子どもをつくる”というライフコースが当たり前だと思っていたんです。自分でもジェンダー差別だったと思うんですが、社会的な“性別の役割”というのが自然と植え付けられていて、“夫は働いて、妻は子どもを産み育てて”というのが幸せのカタチだと思い込んでいました。でも、その幸せが手に入らなかった。
『じゃあ私たちは結婚している必要があるのか? 妻としての資格はあるのか? 夫にはこれからももっとチャンスがあるだろうし、一生懸命外で働いて、家に帰ってきて私しかいないってさみしくない?』などと考えてしまって……。『彼には、子どもたちからの“お父さん、おかえり!”があるべきなんじゃないか?』という思いに囚われて、それを与えられなかったことへの罪悪感や自己嫌悪…完璧主義なゆえに自分の欠けているところが目について苦しみました。
私たちは妊活中もチームのように、“ふたりで臨んでいる”という意識はあったのですが、やはり子宮で起こることは女性にしか体験できませんよね。たとえば妊活中、毎月のように“生理と共に来る落胆”は、パートナーに共感してもらうのは難しいことですよね。落胆があって期待があって、また落胆があって……というのはわかってもらえずズレはありましたけど、それよりも自分の自己嫌悪、自信喪失、アイデンティティロスが結婚生活やパートナーシップに影響していってたんじゃないかと思います。やっぱり、『女性として価値がない』とか、『私は最愛のパートナーを父親にしてあげられない』とか、いろんな感情が入り混じって負の状態に陥っていましたから。
だから、夫に『あなたならまたチャンスもあるし、私じゃなくてもいいんじゃないか』と離婚を提案しました。夫の答えは『子どもを作るために結婚したんじゃない。子どもができなくてもふたりで楽しい人生を過ごしたい』。その言葉のおかげで、『もう自分を責めるのはやめよう』と思うようになり、自己肯定感を取り戻せました」
【ボレンズ真由美】
国際NLP認定コーチ/グローバルコミュニケーションコーチ/公益社団法人日本助産師会認定 不妊症ピアサポーター
10代でのカナダ生活、20代での中国生活、30代でのシンガポール生活を経て、40代の現在は「ふたり家族の新しいライフスタイル」を求めて、ドバイをベースにマルチ拠点生活に挑戦中。
バイリンガルMC、ナレーター、通訳/ファシリテーターとして活動する傍ら、自身の経験を活かし、子供のいない未婚・既婚女性に特化したメンタルヘルスや人間関係・夫婦のコミュニケーションの悩みを解消するライフコーチとしても個人セッションを日本語、英語で受付中。
2020年FLOW立ち上げと共にポッドキャスト番組「産まない産めない女性の幸せな人生計画」を配信中。メディアではあまり語られない、子どものいない女性や夫婦の多様な生き方や心のプロセスなどを紹介している。
<取材・文/みきーる>みきーる
ジャニヲタ・エバンジェリスト。メンタルケアカウンセラーⓇ。女子マインド学研究家。応援歴20年超のジャニーズファン。女心を知って楽しく生きるためのライフハック“女子マインド学”を提唱。著書に『ジャニ活を100倍楽しむ本!』(青春出版社)『「戦力外女子」の生きる道』他。Twitterアカウント:@mikiru、公式ブログ:『ジャニヲタ刑事!』


