「あちら側」と「こちら側」。スワッピング参加者の心理
スワッピングやグループセックスを楽しんでいる人たちは、ごく普通の社会人であり、家庭人である。だから当然、「世間の常識」を知っている。同好の士が集まるのは問題ないが、そういうことに偏見をもっている人が自分たちのありようを知ったらどう思われるか。ある意味ではそれを恐れてもいるのだ。
写真はイメージです(以下同じ)
スワッピングパーティに行った経験のあるミカコさん(仮名・49歳)はこう言う。
「うちは比較的、仲良くやってきた夫婦だと思っていました。でも結婚20周年のとき、
夫に『ふたりでできる趣味をもちたい』と言ったら、『スワッピングしてみたい』と言われたんです。
私はセックスが好きではなく、年に数回、夫に懇願されてするくらいでした。夫婦の間にセックスなんてなくても信頼と愛はあると思っていた。でも夫は『身体的、健康的にできない理由があるならしかたがないけど、僕はきみに拒絶されていつも寂しかった。僕はごく普通の性欲がある男だから』と言い出して」
夫はドラスティックな手段を使って、妻の価値観を変えようとしたらしい。ミカコさんがセックスを好きになれないのは、夫を愛していないからではない。愛しているがゆえに、そういう「動物的なこと」をしたくなかったのだ。
肌を重ねる心地よさは、子どもを育てることで満たされてきた。
「もちろん、子どもたちはもう大きいから抱きしめることも減りましたが、娘とはよくハグします。そういう意味では夫はやはりどこまでいっても“他人”なんですよね。抱き合っても娘とのハグのような安心感は得られない。むしろ、性的な雰囲気が漂うのが嫌だった」
大学生になっても門限が18時という厳格な家庭に育ったミカコさんは、26歳のときに親戚の紹介で結婚した。夫が初めての男性で、「おそらく夫も初めて」だったようだ。だから彼女は
夫も「性欲が薄いタイプ」だと思い込んでいた。夫は我慢していただけなのに。
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