また、子どもが自分の心と体を守るためにも適切な性教育は必要不可欠です。一方で、学校でおこなわれている性教育は現場に委ねられることが多くその内容もあいまいです。

「中1伝わらない性教育」
著者のゆっぺさんの友人の中学生の娘の性教育の経験を描いた作品『中1伝わらない性教育』では、学校の性教育の問題点が描かれています。学校の性教育の授業で「B子さんが、交際相手のA君の自宅でデートをした。でも突然A君に抱きしめられて泣き出してしまった」というケースが先生から生徒に説明されます。そして「なぜB子さんが泣いたのかを考えよう」と問われるのですが、本来A君がB子さんにした「性的なこと」を「抱きしめる」というあいまいな表現で説明したことで、「好きな人に抱きしめられることはダメなことなの?」「性的なことってなに?」と生徒たちも混乱します。
ネットやスマホなどで簡単に性の情報が手に入る一方で、子どもが自分を守る手立てになるはずの性教育のありかたはゆらいでいます。
子どもの性被害をはじめとした性にまつわる問題について、知らなかったではすまされない状況が子どもたちを取り巻いています。そして、子どもが加害者となっている性暴力についても、「よくあること」「子どものイタズラ」「おおげさだよ」という親世代の古い価値観が子どもたちをより追い詰めています。親世代の私たちがこの感覚をアップデートして、具体的に行動にうつさなければならない時代が来ていることをひしひしと感じています。
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<文/瀧戸詠未 協力/公認心理師・臨床心理士 鶴田 信子>