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シマエナガブーム火付け役の写真家が、死の直前まで撮っていた“モフモフの小動物”って?

『毎日小学生新聞』(毎日新聞社)で連載執筆中、NHKの番組でも作品が紹介されるなど、注目の高校生動物写真家・藍沙さんが、自身の師匠であり、一昨年急逝した動物写真家の小原玲さんについて語った。愛くるしい北海道の野鳥、シマエナガのブームの火付け役であった小原さんが、最後に撮ったかわいすぎる被写体とは? 以下、藍沙さんの寄稿。

亡くなる直前までモフモフの小動物を撮影

小原玲さん(左)と筆者(右)

小原玲さん(左)と筆者(右)

「はい、これ。藍沙さんにプレゼント」―手渡されたのは、写真集『森のちいさな天使 エゾモモちゃん』(講談社ビーシー)。私の写真の師匠、動物写真家・小原玲さんが撮った、エゾモモンガのかわいすぎる写真集です。先日、東京都港区で私が「愛・生きとし生けるもの展」で写真の展示を行った際に、小原さんの妹さんからいただきました。アザラシやシマエナガの写真集を大ヒットさせた小原さんが、一昨年11月に病気で亡くなる直前まで撮影していたモフモフの小動物、それがエゾモモンガなのです。  エゾモモンガは、リスの仲間で体長15センチメートル前後。体重は100~120グラムしかない小さな動物です。特徴は、大きな皮膜。これを大きく広げて木から木へと、ピュー、フワッという感じで、紙飛行機のように滑空します。大きな目も特徴で、正面から見ると、アイラインがハート型に見えます。あざとい! ただでさえ、白くてモフモフしているのに……もう、ずるいくらいかわいい動物です。  思い出すのは、約5年前の北海道。「あーちゃん、動物を撮る時はね、動物の目線にカメラの位置を合わせるといいんだよ」。シマエナガの撮影で、小原さんがそう教えてくれたのをよく覚えています。当時、小学5年生だった私からみれば、熊みたいに大きい小原さんが身体をかがめて、雪の上をお散歩するシマエナガを撮っている様子はなんだかユーモラスでした。
小原さんの最後の写真集となった『森のちいさな天使 エゾモモちゃん』

小原さんの最後の写真集となった『森のちいさな天使 エゾモモちゃん』

小原さんが被写体として選んだのがエゾモモンガ

 私にとって小原さんは最高の師匠であり、とにかくかわいい動物が大好きな人でした。その小原さんがシマエナガの次に被写体として選んだのがエゾモモンガで、「ああ、小原さん、ぶれない!」と思いました。  小原さんは北海道に長期滞在し、エゾモモンガを撮影していました。巣穴から顔を出す子モモンガ、冬の寒さに身を寄せ合っているモモンガ達、撮影仲間の皆さんが「小原ブルー」と呼ぶ独特の青みがかった幻想的な月夜のモモンガの写真。どれも本当に素晴らしい写真です。そして「私も一緒に撮影したかったなぁ」とも思ってしまいます。小原さんは一昨年9月の時点で、がんを患っていました。そして、あっという間に同じ年の11月、亡くなってしまったのです。病気が判明する少し前、小原さんは「今度、あーちゃんもエゾモモンガ撮ろうよ」と言ってくれてたのに、あまりに早く天国に行ってしまいました。
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小原さんは一緒にエゾモモンガを撮る前に、天国に行ってしまった
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森のちいさな天使 エゾモモちゃん

クリクリの大きな瞳、小さくて丸いモフモフの体。反則級にかわいいエゾモモンガの写真集


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