――今作の時系列としては2020年3月頃からのスタートですね。
竹内佐千子(以下、竹内)「最初から最後までコロナ禍の巻でしたね。後から見返したらきっと資料になると思いますよ。最近もうみんな東京アラートのこととか忘れかけてません?もはや、緊急事態宣言とは何だったのか……」
――去年の後半もハロウィンやサッカーワールドカップで渋谷が大渋滞でしたもんね。
竹内「でもまだコロナ禍は終わってない……変な感じ。そんな中での今作なので、イケメンをおっかけるというテーマでありながら日常生活を描いただけだった気がしなくもないですね。イケメンイベントもほとんど中止だったし」
竹内佐千子「これからは、イケメンのことだけ考えて生きていく。」ぶんか社
――その中で特に印象に残っているイケメンに関するエピソードは?
竹内「コロナ禍でもイベントを開催したイケメンがいて、それはめちゃくちゃ覚えてますね。ただ、アクリル板越しで、当然握手もできない。マスクしてるから声が聞こえなくてマイク越しに喋る。途中から『何なの、これ。こうまでして私この人に会いたかったっけ……』って考えてました(笑)」
――イケメン熱に浮かされた状態から正気にかえってしまう瞬間ですね(笑)。
竹内「あと、カレンダーや写真集のお渡し会と銘打たれているものの、直接の手渡しはNGでアクリル板越しに話すだけっていうのもありました。スタッフさんに渡されて帰るのって辛い。この時も『こうまでして……』って気持ちになりましたけど、イケメンたちも頑張ってるし買わなきゃ!って自分を奮い立たせました」
――感染予防対策とはいえ、工夫され過ぎたイベントというのもなかなか厳しいものがあったんですね。
竹内「他にも困ったことといえば、お客さんがいなさすぎた若いイケメンのイベントでスタッフさんから『もっと喋(しゃべ)ってください』って言われたこと。遠征するファンがこれない時期だったから、人が少ないっていうのは仕方ない。でも、それにしたって16歳くらいの男の子との共通の話題なんてマジでないんですよ。だから聞けるギリギリの質問で『好きな食べ物は何ですか』って聞きました」
――大味な質問ですけど無難なラインではありますね。
竹内「でも、その時に私の前に並んでいたM田(担当編集者)が全く同じ質問をしてたことを後で知ったんですよ!絶対、あの子困惑したと思う。アラフォー女から連続で同じ質問……。私、一生忘れませんよ」