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ピンク映画300本超を撮った女性監督が貫くエロスの信念「自分の欲望も快感も自分で決める」

このところ映画制作にもコンプライアンスが重要となり、性的なシーンにはインティマシー・コーディネーターが入るケースが増えている。それは演技やメンタルケア、性にまつわる専門的な知識をもとに性的なシーンの制作に携わるスタッフのこと。監督と俳優の仲介役である。 浜野佐知インタビュー202301-2c

インティマシー・コーディネーターに思うこと

だが、浜野さんは「存在じたいが信じられない」と言う。 「監督は自分の意図を俳優に自分の言葉で伝えなければいけないでしょ。そこに第三者を入れることで、監督の思いはストレートに伝わらない。俳優の考えもわからなくなる。監督のセクハラやパワハラがベースにあるからそういう第三者の存在が必要になっているのだとしたら、悲し過ぎますね。セクハラ、パワハラは犯罪だからね。どの世界にもあることだと思うけど、それを許してきた社会の問題でもある。俳優がインティマシー・コーディネーターを希望するなら、私は『監督としてそれでいいのか』と問いたい。もともと役者やスタッフを守れない人間に、映画なんか撮れるはずがないと思うんですよ」

現在70代、これから何を撮っていくのか

彼女にとって、映画は人生そのもの。だが、それは自分の私利私欲を満たすためのものではない。 職業として命がけで映画を撮り、出演者やスタッフの思いを込めて世に送りだす。テーマは自分のものかもしれないが、作品は自分個人のものではない。だが責任はすべて自分にあるというのが彼女のスタンスである。 「出演してもらった」動物たちもほぼ自分が引き取ってめんどうをみてきた。それが彼女の生き方なのだ。 今後の映画制作の予定もある。願わくはピンク映画も継続して作ってもらいたい。ほんの少しであっても、半世紀前に比べれば女性たちの生き方も変わってきた。現在74歳の浜野さんが80歳になったとき、女性視点でのピンク映画を作ったら、その時代を生きる世界中のすべての女性たちに大きな勇気を与えるに違いない。 <写真・文/亀山早苗>
亀山早苗
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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