カルト教団に月収10万円でこき使われる日々…。20代を搾取され続けた女性の苦しみ
K子さんはその団体を新興宗教だという認識もなく、ましてやカルトだとは知る由もない。カウンセリングや自己啓発、コーチング、ライトな秘密結社、人生哲学。いわゆる伝統的宗教のそれとは違う雰囲気があり、とっつきやすさもあったようだ。
本を買い求め愛読しながら、K子さんは大学へ進学。しかし、大学生活はどこか物足りなかった。「大学でやりたいことが見つからない」。これはめずらしくない悩みだろう。そこから趣味やサークル、バイトに熱中していく人も多い。一方K子さんの場合は、教団と関わりを持っていたことから、幹部のひとりがビジネススクールを新設するという情報を手にいれた。人生の分岐点だ。
「教団幹部から“大学”だと聞かされ興味を持ち、それまで通っていた一般の大学を中退しました。その“大学”は、認可されたものではありません。幹部女性はこう話していました。日本にはこうした知識や技術を指導している大学はなく、先鋭的だから文科省も理解してくれない、と。それを聞き、先鋭的な学びを得るために私たちが戦う! という気分が高まってしまったんですよね」
確かにそのビジネススクール(※現在は廃業しているので存在しない)の授業は、一般的な大学で学べるものとは違う。「人を動かすには」「心に響く話術」「成功のヒケツ」等々。K子さんの説明するその“大学”が教えるその内容は、自己啓発もしくは情報商材の類に聞こえる。金額は、年間だいたい300万円。私立の経済学部や、専門学校の授業料と比べると、だいぶお高い。
「経営哲学と言い換えるものの、叩き込まれるのは教団の教えです。教団独自の用語ですが、多少強引に言い換えると仏教でいうところの『涅槃(ねはん)』。その域を目指し、世界をよりよく導くのが人生の目的。そうした教えを学び、理解し、実践できない人たちは一生救われないままだと」
「私は一攫千金を狙うような気持ちで必死でした。今までうまくいかなかった人生を、一発逆転したいというか。学歴とか家庭環境とか、コンプレックスを塗り替えることができるんじゃないかと。スクールでもコンプレックスを刺激されるようなことを言われ、それを改善しましょうと指導されるので、私はまさに術中にハマりまくりだったんでしょう。トラウマを解消して人生を変えるという言葉を信じ、どんどんのめり込んでいきました」
その時のK子さんはまだ教団幹部が作ったスクールの生徒でしかなく、「教団の信者」ではない。本格的な沼生活はここからだ。
大学とは名ばかりだった
確かにそのビジネススクール(※現在は廃業しているので存在しない)の授業は、一般的な大学で学べるものとは違う。「人を動かすには」「心に響く話術」「成功のヒケツ」等々。K子さんの説明するその“大学”が教えるその内容は、自己啓発もしくは情報商材の類に聞こえる。金額は、年間だいたい300万円。私立の経済学部や、専門学校の授業料と比べると、だいぶお高い。
「経営哲学と言い換えるものの、叩き込まれるのは教団の教えです。教団独自の用語ですが、多少強引に言い換えると仏教でいうところの『涅槃(ねはん)』。その域を目指し、世界をよりよく導くのが人生の目的。そうした教えを学び、理解し、実践できない人たちは一生救われないままだと」
教団は若者をどのようにリクルートしたか
自分が身内が友人が沼ったご体験談を募集中です。当連載における沼とは、科学的根拠のない健康法やマルチ商法、過激なフェムケアや自然派思想など、主に健康問題に関わるものにハマることを示します。お気軽に、山田ノジルnojiruyamada@gmail.com まで、ぜひご連絡ください(お返事に時間を頂戴する場合もあります)。


