「把握したはずなのに『お腹の子は、本当に息子の子なの?』と義母に言われたときには、思わず涙が出ました。義父が『失礼なことを言うな』と怒ってくれたので救われたけど……。なんというか、同僚や先輩など勤務先の人たちには助けてもらったけど、一方で義両親や共通の友人は冷たかった。夫は本当にいい人だったから、
私が夫を陥れようとしているんじゃないかと言い出す人までいた」

義両親は「息子は連れて帰る」と言ってくれた。そして出産後数ヶ月で離婚届を提出、離婚が成立した。夫は子どもの顔を見ることもなかったが、養育費の一部にと義両親が送金してくれたので、キミコさんは子どもの写真を送った。
それから1年後、元夫からキミコさんに電話がかかってきた。彼女もなにげなく出てしまったという。
「夫は『
きみには本当につらい思いをさせた。ごめん』と。以前の夫に戻っていました。あなたも大変だったよねと言うと泣き出して。子どもの写真をまた父親に送ってやってほしいというので、わかった、いつかあなたも会いに来てと言うと、『ありがとう』って。
でもその晩、彼は車の中で自殺しました」
翌朝いちばんで義母から連絡があったという。覚悟の上で最後にキミコさんの声を聞きたかったのだろう。