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「スーパーのパック肉に怒りを感じてた」菜食生活の沼にハマった20代女性の戦い

2000年代初頭はいまと比べると、ヴィーガンは知る人ぞ知るというレベルのライフスタイルだった。同居していた母親は家庭菜園で無農薬野菜を作ったり、菜食生活に付き合ってくれたりと前向きに協力をしてくれたが、友だちからは奇妙な目で見られていた。 「人間関係が壊れるまではいかなかったけど、お互いちょっと距離ができてしまいましたね。外食は誘われても、自分から断っちゃう。食べるものがなくて申し訳ない、みたいな気持ちもありますしね。焼肉なんか誘われた日には、そんな、牛殺して焼くとか何!? みたいな(笑)」

マクドナルドとケンタッキーの違い

ヴィーガン体験談202303-2b「マクドナルド? あんなパッケージにして出したら生き物の命を奪っている罪悪感も何もないじゃない! 肉の形くらい残せよ。悪魔の産業……そんなふうに思っていた。ちなみにケンタッキーは骨がしっかりあって、意外とワイルドで動物の形が残っているから私的にはOK。ファストフードチェーンだけど、鳥の慰霊祭※もやっている。それを知って『うん、よくやってる』『あいつら覚悟決めてんな!』なんて。ちょっとヤンキーみたいなノリで(笑)」 ※1974年からKFCの日本法人では「チキン感謝祭」という行事が開催されている。関東は東伏見稲荷神社、関西は住吉大社で行われ、鶏と取引先への感謝を込め、玉串奉奠(ほうてん)が行われているという。

友だちに「教え諭す」スタイル

食生活だけでなく、生活全般も変化していく。電車に1時間乗って、ヴィーガンコスメひとつを買いに行く。送料1000円をかけて自然派石けんを取り寄せる。不便であるほど「みんなはまだ目覚めてないから、目覚めている自分がひとりで戦うしかない」「私が社会を変えていく」という感覚が高まっていった。 「友だちには、どこそこの商品を使うべき! みたいに物の購入を勧めたりはしないけど、わかっていないから諭す、というスタンスで接していました。牛を育てるにはこれだけのコストがかかるうえメタンガスも出るから環境破壊につながる。知能が高い生き物を食べてはいけない。本来個体数がそこまで多くないはずの大きな動物を人間の都合で増やすのは生態系の破壊だ。そんなことを話した記憶があります。いまもそれは、本当にそうかもしれないと思っていますが。でもそんなことを言ってれば、普通の人付き合いはむずかしくなりますよね」
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スーパーで売られている肉を見て、何を思うのか
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自分が身内が友人が沼ったご体験談を募集中です。当連載における沼とは、科学的根拠のない健康法やマルチ商法、過激なフェムケアや自然派思想など、主に健康問題に関わるものにハマることを示します。お気軽に、山田ノジルnojiruyamada@gmail.com まで、ぜひご連絡ください(お返事に時間を頂戴する場合もあります)。
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