タイの人々に根付く「タンブン」“徳を積むこと”の精神

写真はイメージ
小林さんの初の単行本「タイのひとびと」を読むと、小林さんがタイの生活の中で、特に現地の人々に魅力を感じていることが伝わってきます。
「タイの人は『なんでここまで!』と思うくらい親切にしてくれることが多々あります。タイでは仏教の教えで、“徳を積むこと”を『タンブン』と言います。その精神が人々の生活に染み込んでいるのか、本当に親切な人が多いです」
仕事中だったとしても、困っている人を見かけると「マニュアル通りではなく“人として”の対応をしてくれる」と感じるといいます。
タイで親切にされた経験は数えきれないとのことですが、思い出せるエピソードを聞いてみました。
「駅で体調が悪くなって、医務室でお世話になったことがあるんです。しばらく休んで、やっと少し良くなって帰ろうとしたら、駅員さんがわざわざ、宿泊しているホテルまで送ってくれたんです!」
困っている人がいると、放って置けない性質があるようだといいます。他にも、タクシーの中にケータイを忘れてしまったのも、思い出深い出来事だったそう。
「ケータイをなくしたことに気がつき、警察に届け出たら、警察がすぐタクシーの会社に連絡してくれました。そして、そのタクシーの運転手さんがわざわざ警察署まで届けに来てくれたんです」
落としたら戻って来なくてもおかしくない貴重品でも、皆の迅速(じんそく)な対応と協力により、小林さんの手に戻ってきたのが印象的だったとのこと。