サボりの時間を前向きに、積極的に取り入れる(ステレオテニスさん)

ステレオテニスさん
「“ヒマを持つ”ことにも真剣に」と、よりサボることを重視しているのは、80年代グラフィックのトーン&マナーを取り入れたデザインで注目を集め、地方を盛り上げるクリエイティブディレクションなどにも取り組んでいるアートディレクターのステレオテニスさん。
「サボってるときは自分が軸になるんですよ。だから、ヒマとかサボりとかって、ある種の贅沢というか」と、人に合わせず自分のペースでいられるサボりを、贅沢な時間と捉えているといいます。日常から離れた場所で自分と向き合う「リトリート」がレジャーの分野で注目されたり、あえてデジタル機器と距離を置く「デジタルデトックス」がトレンドになったりしたことからも、サボりを前向きに捉えようとする動きは進んでいきそうです。
また、仕事を楽しみ、遊ぶように働いてきたと語るステレオテニスさんだからこそ、「気がついたら背中から小さい槍で追い立てられてるように感じる走り方をしていることに、気づいてない場合もあると思うんです。それで結果的に、体にムリが出たりするのは違うのかなって」と、仕事と遊びを分けることの重要性に気づけたといいます。サボったり、遊んだりすることは、自分を客観的に捉え直すきっかけにもなるのかもしれません。
自分らしい働き方を見つけてきたクリエイターたちの仕事術、サボり術に触れてみると、自分に合った働き方、サボり方も見えてくるはず。仕事とサボり、生活においてどちらかひとつでは成り立たないものです。何かとせわしない毎日を過ごしているなと感じたら、一度立ち止まって、「サボり」について考えてみてはいかがでしょうか。

「よく働き、よくサボる。一流のサボリストの仕事術」(扶桑社)
【森田哲矢 もりた・てつや】
お笑い芸人/株式会社ザ・森東代表取締役社長。2008年、東ブクロと「さらば青春の光」を結成。『キングオブコント』(TBS系)では2012年に準優勝し、6度も決勝進出を果たすなど、巧みなコントで注目を集める。2013年には個人事務所「株式会社ザ・森東」を設立。テレビ、YouTube、ライブ、ラジオなど、幅広いフィールドで活躍を続けている。また、フィンランド発祥のスポーツ「モルック」を趣味とし、日本代表として世界大会にも出場した。
【石井 玄 いしい・ひかる】
2011年にサウンドマン(現・ミックスゾーン)に入社。ディレクターとしてニッポン放送の『オードリーのオールナイトニッポン』、『星野源のオールナイトニッポン』、『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』などのラジオ番組を担当したほか、チーフディレクターも務めた。2020年からはニッポン放送のエンターテインメント開発部にて、生配信ドラマ『あの夜を覚えてる』やオールナイトニッポンの番組イベントや番組関連書籍などのプロデュースを担当している。
【ステレオテニス】
アートディレクター/プロデューサー。早くから80年代グラフィックのトーン&マナーを取り入れた作風で、カルチャーシーンを中心に広告表現や空間プロデュース、イベントの企画などを手がける。電気グルーヴなどのアーティストのグッズ制作や、ハローキティなどのキャラクターとのコラボレーションを多数展開。近年では、宮崎県都城市のPR大使として、プロデュース業や地方を視野に入れたクリエイティブディレクションにも積極的に取り組んでいる。
<構成/女子SPA!編集部 写真/石垣星児>