まだまだフェムケアアイテムを使ったことがない人ばかり
――日本のフェムケア市場の動向について教えてください。
田中:世の中にフェムケア市場に関連する調査は出ていますが、フェムケアと一言で表しても、美容や医療など幅広く含まれるため、さらに細かく分析する必要があります。
健康・美容業界でいうと、全国から店舗が集まる日本一規模の大きいドラッグストアショーという展示会が毎年開催され、今年初めてフェムケアゾーンがつくられました。このことは、たくさんの企業がフェムケアに注目していることを示していると思います。
――世間の関心も高まっていると感じていますか?
田中:メディアに取り上げられるようになり、フェムケアに興味をもつ人が増えています。一方で、生理日・排卵日予測アプリ、ラルーンが2022年に行った「フェムテック・女性用品に関する調査」(回答者 2323名)によると、フェムケアに高い関心をもつ回答者が集まっているにもかかわらず、約40%の人がフェムケアアイテムを利用したことがないと回答しています。
――フェムケアアイテムに興味があるけど利用していない人が多いのは、なぜでしょうか?
田中:個人的には、したいけど一歩を踏み出すほどではないと考える人が多いのかなと。たとえば、ニキビができてしまっても放置することもできるじゃないですか。デリケートゾーンケアに関しては、わざわざいろんな商品と比較して購入するまでに至らない人が多いと考えられます。あとは、フェイスケアやボディケアなど、ほかのケアを優先してる人も多い印象です。
――デリケートゾーンケアには、どのような人たちが興味をもっていますか?
田中:私たちの商品の利用者の平均年齢は30歳で、20代前半から40代中盤の利用者がみられます。20代前半の方はおそらく恋愛において「(ニオイで)パートナーに嫌な思いをさせたくない」「清潔でいたい」という人が多いのかなと。30代から40代の方は、女性ホルモンの減少により、乾燥といったリアルな悩みが増えることから、ケアに力を入れたい人は増えているといえます。
デリケートゾーンをきちんとケアすることは、女性の心身を健全に保つことにつながりますし、ぜひもっと多くの方に関心を持ってもらいたいです。

店頭に並ぶMAPUTIシリーズ
――これからのフェムケア市場はどのように変化していくと考えていますか?
田中:私は5年、10年以内に、現在のドラッグストアでボディケアの棚の半分ほどのサイズでデリケートゾーン用ケアアイテムの棚が確立すると思います。
実際、アメリカではスーパーやドラッグストアなど、さまざまな店舗でシャンプーやコンディショナーと並んで、デリケートゾーンケア商品の棚があります。日本でもフェムケアアイテムが一般的な消耗品として認知され、お客様が自分に合った製品を選べる時代がくるのではないかと期待しています。
――今後、MAPUTIとしてチャレンジしたいことはありますか?
田中:もともとMAPUTIは、タガログ語で「白」を意味します。女性の深い悩みを「黒」とたとえ、それを「白」にしたいという思いから立ち上がりました。女性のお悩みを解決するため、今後は頭から足の先まで、幅を広げて商品をつくっていきたいです。また、今後は女性だけでなく、男性の悩みにも寄り添う『MAPUTI MEN』もできたらいいんじゃないかと考えています。
<取材・文/Honoka Yamasaki>
山﨑穂花
レズビアン当事者の視点からライターとしてジェンダーやLGBTQ+に関する発信をする傍ら、レズビアンGOGOダンサーとして活動。自身の連載には、レズビアン関連書籍を紹介するnewTOKYOの「私とアナタのための、エンパワ本」、過去の連載にはタイムアウト東京「SEX:私の場合」、manmam「二丁目の性態図鑑」、IRIS「トランスジェンダーとして生きてきた軌跡」がある。また、レズビアンをはじめとしたセクマイ女性に向けた共感型SNS「PIAMY」の広報に携わり、レズビアンコミュニティーに向けた活動を行っている。
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