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トランスジェンダーが抱える「トイレ利用」よりも深刻な問題とは?/高井ゆと里さん・前編

社会に“埋没”する

――LGBTとひとまとめにされているものの、「T(トランスジェンダー)」の置かれている状況はほかのセクシュアリティとは異なることを感じました。 高井:そうですね。「この人は女性には見えない」「男っぽいね」など、トランスジェンダーは見た目について言われることが多くあります。表に出ることのリスクがあるため、なるべく矛先が自分に向かないように、世間一般的な男性像や女性像に当てはめて過ごす当事者は珍しくありません。 ――世間一般的な男性像、女性像とは、具体的にどのようなことでしょうか? 高井:「女性は髪の毛が長い」「男性は化粧をしない」のように、世の中にある女性らしさ・男性らしさのことです。トランスジェンダーのなかでも、化粧が好きな人もいればしたくない人などさまざまですが、らしさをある程度身につけて“埋没”していないと、周りからジロジロ見られたり、侮辱されたりしてしまうことがあります。 男性・女性らしさを身につけていないと自分の性別そのものを否定されてしまうことがあるため、安心して生活を送ろうとすると、世の中のもつ男性像や女性像にどうしても寄ってしまうのです。 ――トランスジェンダーについて知るために、私たちは何ができますか? 高井:トランスジェンダーの人たちの話を聞いてほしいです。インターネット上で無料で当事者の生活実態や困りごとなどを読めるサイトは増えてきているので、当事者の置かれている状況を知ってもらいたいと思います。 <取材・文/Honoka Yamasaki 撮影/星亘>
Honoka Yamasaki
昼間はライターとしてあらゆる性や嗜好について取材。その傍ら、夜は新宿二丁目で踊るダンサーとして活動。
Instagram :@honoka_yamasaki
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