一方で、相撲関係者や、長年の相撲ファンに話を聞くと
手放しで絶賛はできないという声も目立ちました。
「目を背けたくなる暴力描写。取組のシーンもケンカやプロレスのようで、違和感があった。かわいがりなどは前時代的なもので、相撲界が現在もそうだと思って欲しくはない。ありえない」(相撲関連書籍を手掛けるライター)
「相撲教習所の描写もなく、ちゃんこ番や下積み部分をはしょっているのが気になってしまった」(相撲ファン)

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日本相撲協会や現役力士がこの作品について目立った言及をしていない事実からも、この作品を手放しで評価する=描かれている相撲界の闇を―暴力も含め―事実と認める、と誤解されることを恐れているのでしょう。ただ、その一方で
「ドラマとしてはすごくおもしろかった」と口をそろえているのも事実です。
肉体改造した役者がまるで本物の力士。リアルさが没入感を生む
また、彼らは「国技館や大部屋の様子、稽古の雰囲気などがまるで本物のよう。
ディティールがリアルすぎる」と絶賛していました。

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筆者も、役者勢があまりにも力士然としていることが衝撃的でした。力士役の俳優さんたちはこのために、トレーナー等の指導の元、1年かけて肉体改造したということです。そのせいか、力士役それぞれが実在の力士に重ねることができ、作品への没入感を深めています。
例えば、主人公は雰囲気が元大関・千代大海のようにも見え、主人公の最強のライバルである静内(住洋樹)は元大関・高安に似ているという声も。

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登場する角界のプリンス・龍貴(佳久創)は、琴恵光関や80年代に活躍した元大関・若島津のように凛とした存在感があり、本物の力士をモデルにしたようなリアルさがあります。詐欺師が嘘の中にリアルを混ぜて、全て真実だとだます手法にかかったように、この作品の所々の再現性は、相撲界の真実を描いているという感覚に陥ってしまうくらいです。