第1話は、車内でじりじり張り込む場面から始まる。加賀美は、とにかく軽食を口にする。毎回、決まってフライドチキンとかコロッケだとか、揚げ物が好物らしい(コロッケ好きから“コロ介”なんて愛称まで)。
実はこころのことが好きで、さりげない気遣いを節々でにじませるのだが、照れ隠しからか、言葉尻で「へへっ」と短く笑うことが多い。いいなぁ、こういう町田君も。
『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系、2020年)の黒沢優一のような純情キャラもいいだが、本作のような「へへっ」と軽妙キャラも抜群にうまい。
第3話では、こころが虎松との関係に悩んでいたところ、彼女を笑わせるために、酔っておどけたふりを見せて、噴水で転げ回る。水に濡れ、西日に照らされた加賀美のはにかむ表情を見て、ズキュンされた視聴者は多いだろう。
筆者の場合は、ダレッサンドロのあられもない姿にこの濡れたハニカミを重ね合わせて、よからぬ妄想を膨らませてしまったのだが……。
こころと加賀美がすっぱ抜いたスクープ記事が恨みを買うこともある。こころが夜道を歩いていると、刃物を持った暴漢に襲われ、助けに入った加賀美の背中にズブリ。間一髪、致命傷にはならなかったものの、加賀美は、入院する。
入院先の病院で担当医になるのが、ナイトドクターの闇原海造(吉田鋼太郎)。こころの父親である。娘を溺愛する海造は、こころを助けてくれたことに深く感謝する。毎晩、病室に様子を見に来ては、「ありがとう」の連呼をあびせる。
加賀美が目を開けると、海造がじっとりそこにいて、さすがに恐怖を感じる。だんだん、距離が異常に近くなって、とうとう鼻をこすりつけるくらいの位置で感謝を口にする。これはもう、まさに吸血鬼が横たわる人間の首筋から血を吸い上げる体勢じゃないか。
町田啓太が吉田鋼太郎に血を吸われるかも?みたいな。そんな妄想もご愛嬌、ここらで、とどめておくことにしよう。