岸田首相長男、秘書官辞職。小泉進次郎とは異なる「フツーにいいヤツ」が権力を握る“恐ろしさ”
岸田文雄総理の長男で、首相秘書官を務めていた翔太郎氏が6月1日付で辞職することになりました。昨年末に首相公邸で親族らと忘年会を開き、組閣ごっこの写真を撮るなどした行動の責任を取った格好(かっこう)です。
この翔太郎さん、世襲議員のご多分にもれず輝かしい経歴の持ち主です。慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、三井物産に入社。そして2020年から岸田文雄事務所で公設秘書を務め、現在に至るというキャリア。いずれはお父様の後を継ぐのでしょう。
今回より前に翔太郎氏に不祥事が発覚したときに、母の裕子氏は更迭(こうてつ)に反対してきたとの報道がありました。(『SmartFLASH』2023年5月29日配信「公邸で忘年会」の岸田翔太郎秘書官、心が折れて自ら「もう辞める!」母も“悪ノリ撮影”かばい切れず)これが本当だとすれば、息子への母、裕子氏の愛の深さを思わずにはいられません。
そこで思い出すのが、故・安倍晋三元総理です。安倍氏も、母の洋子氏と大変に仲がよく、成人した後も映画をいっしょに鑑賞しては、感想を語り合うほどの関係だったそう。(『安倍三代』著・青木理 より)
今年1月の首相の欧米歴訪に同行した際、公用車でお土産(アルマーニのネクタイ)を購入して批判を浴びたこともあり、とうとう岸田総理もかばい切れなくなったようです。
セコいゆえに恐ろしい岸田元秘書官
いかにも由緒正しい二世といった趣きですが、しかし、どうも引っかかるのです。なんかやってることが幼稚でセコくね? というわけで、自民党が誇る世襲の大物と比べて、岸田翔太郎さんの極小なスケール感と、それゆえの恐ろしさについて考えてみたいと思います。
安倍元首相と同じく仲良しだが、思想はない岸田母子
ただし安倍氏には良くも悪くも祖父・岸信介の政治信念を受け継ぐとの自負がありました。岸のDNAを受け継ぎ、日本国を背負って立つのは他ならぬ自分であるとの意識から、母の洋子氏にシンパシーを抱き、洋子氏も安倍氏に愛を注いできたわけですね。 ところが、翔太郎氏からはそのようなイデオロギーが全く感じられません。つまり、生まれながらにして裕福で社会的地位の高さに恵まれた人が、そのままエスカレーター式で最高権力の中枢(ちゅうすう)に組み込まれてしまった。 このあまりのスムーズさに、安倍氏の思想的執念とは違った恐ろしさを感じてしまいます。 そして、翔太郎氏の屈託のない明るいハメの外し方が、スムーズであることの危うさを証明しているように思うのですね。
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