一方、みちの夫・陽一（永山瑛太）が店長を務める喫茶店でアルバイトをしている結衣花（さとうほなみ）のもとには、過去、彼女が不倫した相手の妻がやってきていた。3年前に別れてから一度も会っていないのに、最近になってその相手が彼女に連絡を寄越（よこ）していたことを妻は怒っていた。接触を持ったことが耐えられない、と。 「この3年、心から笑ったことも怒ったことも、夫に触れたこともない」と妻は言う。そして「あなたが私の心を殺した」とナイフのような決めゼリフを結衣花に投げつける。それは聞いている陽一の心にも刺さった。 　不倫は、された側にとっては「魂の殺人」だと聞いたことがある。だが、不倫をしたのは当の配偶者だ。配偶者に怒りをぶつけることなく、配偶者の相手に怒りをぶつける女性は多い。楓の上司である編集長（MEGUMI）も、「女ってさ、浮気されるとどうして相手の女に怒りを向けるのかね。ダンナとやり直したいんだったら、女じゃなくてダンナと向き合えばいいんじゃない？」とつぶやく。彼女自身は速攻で離婚したと笑いながら。その言葉は、楓の胸を揺さぶる。 　そして二組の夫婦は、それぞれの思いをもちつつ、ようやく「一緒にやっていく」ためにセックスに取り組むことになるのだが……。 　みちと誠は、本当に離れて生きることができるのか。お互い、自分が本当に大事にしたいのは誰かに気づいてしまった今、胸に秘めたままの相手への熱い思いを断ち切ることができるのか。今後の大転回を予期させる終わり方だった。