セックスレスに悩む男女の不倫。車内キスしても“純愛”に見えてくるナゾ|ドラマ『あなたがしてくれなくても』
冒頭から、これぞ修羅場。『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系、毎週木曜日よる10時放送)第8話は、息を呑む展開だった。
本作で描かれる男女の関係性は、紛れもない不倫。決して許されることではないが、ただ、複雑な思いを抱え続ける不倫夫の純粋な気持ちは、理解しておくべきではないか。
「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、岩田剛典扮する新名誠の痛切極まる表情を読み解く。
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嫌な雰囲気である。とても気詰まり。夫・新名誠(岩田剛典)の勤め先に現れた新名楓(田中みな実)が、夫と同じ営業部の吉野みち(奈緒)と直接対峙する。
カフェの座席に座り、お互いぴくりともしない。店員が運んできた飲み物を置く時間ですら、やけに長く感じる(省略可能なはずの店員の動きをあえてまるまる描写)。
「それでも毎晩、ベッドに入って、どきどきして待つんです。でも寝息が聞こえてくるだけで……」
楓に問いただされたみちが、声を震わせながら語り始める。みち自身のことだけでなく、これは新名にもまったく同じことが言える。
聞いている楓の頭には、新名との会話が次々フラッシュバックする。みちは、「それが毎日、毎日、何ヶ月も続くと、ご飯が美味しくないんです」とも。
新名が楓のために献身的に料理する姿が、いかに悲痛だったか。第4話以降、“新名クッキング”が突如打ち切りになった理由は、ここにあったのだ。
妻との愛の不毛に悩む、そのやるせなさだけではなく、純粋に「ご飯が美味しくない」のだ。そもそも楓は、作り置きですら、食べてはくれない。そりゃ、作りたくもなくなるだろう。
みちも新名も、「心も身体も愛されたかった」と口々に言う。セックスレスの夫婦間では、もちろん身体は満たされない。最初は肉体だけの問題だとしても、満たされない気持ちが続けば、徐々に精神にまで深く影響する。
ふたりは、「心も身体も」満たされていない。身体の渇望感なら、まだ一瞬の気持ちとしてやり過ごせるかもしれない。でも精神の枯渇は、そうはいかない。深いモヤモヤは長引き、みちが言うように、「未来」が見えなくなる。
だからまずは精神の回復からだ。そう思ったみちと新名は、お互いの悩みを吐露し、共有することで、“レスの戦友”になった。
そこから惹かれ合い、確かに不倫関係にまで発展したが、車内や旅館でのキス以上にはいたらなかった。この不倫は、やっぱりどこまでも精神的なものなのだろうか?
“新名クッキング”打ち切りの理由
精神的な不倫関係
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