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セックスレスに悩む男女の不倫。車内キスしても“純愛”に見えてくるナゾ|ドラマ『あなたがしてくれなくても』

心底、純愛の人だと思う場面

8話より©フジテレビ

8話より

 空間の広さを表現するには、カメラは引きの位置に置かれる(映画用語では、ロングショットと言う)。ノー残業デーの夜、オフィス内で素晴らしいロングショットがあった。  吉野陽一(永山瑛太)に不倫を告げられて以来、帰宅するのが億劫なみちが、居残りで作業している。すると、オフィスの片隅で新名も忙しなく残業に追われていた。何という偶然。第1話で描かれたふたりの残業が、若干シチュエーションを変えて再演される。  稲葉浩志が歌うカバー曲「ダンスはうまく踊れない」のイントロが、ベストなタイミングで流れる。雰囲気は十分。仕事を片付けたふたりが、オフィス中央近くで向き合う。  引きの画面だから、表情は見えないが、転職の話を報告する新名が、水を得た魚のように、どんどん満たされるように感じる。  固い握手を結び、自席に戻った新名が浮かべる表情。なぜそんな顔するのか。まだ未練があると言うのか。  菅野祐悟による楽曲が奏でる弦楽器の音色が重なる。切ない。第7話のディナー場面と言い、どうして岩ちゃんの表情には、こんなにも愁い(うれい)があるんだろう。  その直後、楓との行為を中断したベッドシーンからも明らかなように、新名は、やっぱり心底、純愛の人だと思う。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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