Entertainment

セックスレスに悩む男女の不倫。車内キスしても“純愛”に見えてくるナゾ|ドラマ『あなたがしてくれなくても』

岩田剛典の演技を見る者の“定め”

8話より©フジテレビ

8話より

 第7話の終盤近く、酔って朝帰りした新名が楓に、みちとの関係性を次のように言っていた。 「彼女とはそんなんじゃない。一方的に俺が、彼女に対して精神的な支えを求めてしまったんだ」  新名の口から、「精神的な」とはっきり明言されている。でも不倫に変わりはない。すくなくとも、妻である楓をどん底まで傷つけることになった。  だから筆者としても、新名がみちに求めるこの精神的な関係性を美化するつもりはさらさらないのだけれど、でもね、どうしても「純愛」という言葉を口にしたくはなる。  これは、岩田剛典の演技を見る者の“定め”なのかもしれない。彼は、これまで、あらゆる役柄を通じて不純なもの(不倫など)を純化させてきた。控えめに言っても、“純愛の錬金術師”としての役割を全うしてきたのだ。

新名の満たされない心を表す間取り

8話より©フジテレビ

8話より

 新名の心模様を考える上で、第8話には重要な演出がある。それは、楓との夫婦共有スペースであるリビングでのこと。  ある夜、仕事を終えた楓が帰宅すると、新名が食事を運んでいる。食卓には一人分しかない。「え、誠は食べないの?」と尋ねる楓に、新名は素っ気なく振る舞う。短い会話のラリー中、新名は、寝室に移動する。寝室のドアが一瞬、開かれた状態になる。  カメラは、その様子を寝室の外、楓がいるリビング側から捉えている。ここで初めてリビングと寝室内部が、同じ画面上におさまる。改めてだだっ広く感じるマンションの間取り。何だか空虚な空間。この広さは、新名の満たされない心をそのまま表しているかのよう。
次のページ 
心底、純愛の人だと思う場面
1
2
3
Cxense Recommend widget
あなたがしてくれなくても(上)

見逃し配信も好調! SNSで話題沸騰!
夫婦のタブーに切り込んだ累計850万部の人気コミックが原作
フジテレビ木曜10時ドラマを完全ノベライズ!


あなたにおすすめ