幼児教室でインフルエンザ発生。“激怒するお受験ママ”VS“ワクチン否定の自然派ママ”が大ゲンカ
―連載「沼の話を聞いてみた」―
就学前の子どもを対象とした「早期教育」。歩(あゆみ・仮名)さんは、いまから20年ほど前、ママ友からの誘いで「授業を通して、非認知能力を育てる」ことを目的とした知育教室に、当時幼稚園児だった息子を通わせていた。
そこで繰り広げられていたのは、教育にのめりこむ、母親たちの沼だった――。
【前編を読む】⇒幼児教室ママたちの異様な熱狂。幼稚園児に「検定試験に向けてのガリ勉」は本当に必要?
教室には教育意識の高い母親たちが集まり、最終的には子どもらを東大へ進ませることを目標としていたという。
土日になると授業をみっちり詰め込むだけでなく、「頭をよくする」ことを目的に、音楽や読み聞かせ、体操、なかにはスピリチュアルなものを取り入れていた母親もいたという。
「音楽などの情操教育に役立ちそうなものも、すべてが”頭をよくするため”というのはすでにお話しましたが、栄養面も例外ではありません。子ども向けの栄養ドリンクを飲ませているのも、よく見かけましたよ」
「ウチも少し大きくなってから買ってみたことがありますが、基本、親の言うことを聞く子ではなかったので、ひと口も飲んでくれませんでした(笑)」
「子どもの頭がよくなる食事」なんてものはいまでもまったくめずらしくなく、昔から定番の、親をターゲットにした健康ビジネスなのだろう。
詰め込みとも思える早期教育に、普通の食事にプラスαされる栄養剤。子育てを農作物に喩えては失礼だとは思いつつ、促成栽培の光景を思い浮かべてしまう。
よりよい環境を与えてあげたいと思う親心からであり、一般的には「子どもに手をかけている」として賞賛されることなのだろうけど。
「授業を長時間入れていると、当然待ち時間が長くなる。そのあいだに、母親同士で教育情報を交換するんですよね。みなさん本当に熱心で、まるで早期教育の百科事典みたいに何でも知っている。
しかしそこの光景が、まさに沼。怪しいものに対するアクセスがやたらと多く、しかもお母さんたちが信じやすいからです。
『一般には知られていないけど実は』『ここだけの特別な情報』というノリに、みんなが飛びついていました。狭いコミュニティ内で紹介されるので、そこで紹介されたものに行くと、必ずといっていいほど教室関係者に出くわす。みんなでぐるぐると、同じ沼のなかを徘徊しているような感覚でした。
とにかくみなさんエネルギッシュ。目が死んでる子どもらがたくさんいる一方で、活動的なお母さんたち。何か子どものエネルギーを吸ってるんじゃないかという勢いでした」
まるで促進栽培される野菜のよう

教室が怪しいビジネスの入口に
自分が身内が友人が沼ったご体験談を募集中です。当連載における沼とは、科学的根拠のない健康法やマルチ商法、過激なフェムケアや自然派思想など、主に健康問題に関わるものにハマることを示します。「女子SPA!」のお問い合わせフォームより、ぜひお気軽にご連絡ください(お返事に時間を頂戴する場合もあります)。