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「不妊の悩みに靴下」?!妊活やアトピー、子育てママを惑わせる怪しい健康情報の罪

めでたいことに佳子さんはその後、妊活のかいあって第2子を出産した。となると、冷えとりの効果と言えるのだろうか? 「妊活のためにクリニックにも通うようになり、その後妊娠したので普通にホルモン剤のおかげですね(笑)」 がん母闘病沼202308「こうしてたびたび、私も民間療法的なものに期待して試してみることもあるんですが、でもやっぱりいろいろなものに手を出して結局何の成果も得られなかった母を思うと、怪しげなものに手出しちゃ駄目だなと正気になって、沼のごく浅いところからすぐに引き返してきます」

父は常に冷静だった

「ちなみに冷えとり健康法は、半年くらいでやめました」 娘の反面教師になったなら、喜ばしいかもしれない。 さて、母の宗教沼や健康食品沼からの防波堤になってくれた父親も実は、昔から心臓に持病を持っていたという。 がん母闘病沼202308まさか父も別の沼に……? とはならなかった。 「うちの父は、根拠のない類のものは、一切信じない現実的な人なんです。昔、人の心の機微も淡々と論理的に考察する『天才柳沢教授の生活』って漫画とドラマがあったじゃないですか。あんな感じの人でした」

当事者ほど意識が必要

「だから父は淡々と手術を3回受け、いまも小康ながら元気に暮らしているんですよね。根拠のないものを、信じない人は強い。不安に心を持っていかれない人は強い。父を見るたび、つくづくそう感じますね」 「喉にネギを巻く」といったおばあちゃんの知恵袋的な民間療法や、土地の神様にお参りするなどの民間信仰的な厄除け祈願。私たちの日常には、そうしたものがそこここに息づいていて、大なり小なり「科学的根拠のはっきりしない」ものを、ほとんどの人が取り入れているだろう。 ところが「大病」となると、その入り口が急に大きく広がっていく。 こうした話はどこにでもよくあるのだが、いざ当事者になるとそれを忘れてしまう瞬間がある。母の闘病によってそれを見てきた佳子さんは、「常に意識的に思い出すようにしている」と教えてくれた。 <取材・文/山田ノジル>
山田ノジル
自然派、○○ヒーリング、マルチ商法、フェムケア、妊活、〇〇育児。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のない謎物件をウォッチング中。長年女性向けの美容健康情報を取材し、そこへ潜む「トンデモ」の存在を実感。愛とツッコミ精神を交え、斬り込んでいる。2018年、当連載をベースにした著書『呪われ女子に、なっていませんか?』(KKベストセラーズ)を発売。twitter:@YamadaNojiru
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自分が身内が友人が沼ったご体験談を募集中です。当連載における沼とは、科学的根拠のない健康法やマルチ商法、過激なフェムケアや自然派思想など、主に健康問題に関わるものにハマることを示します。「女子SPA!」のお問い合わせフォームより、ぜひお気軽にご連絡ください(お返事に時間を頂戴する場合もあります)。
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