
2018年、20周年を迎えたモーニング娘。の初期メンバー、現役メンバーと共演
夏さんの病気は突然だったわけではない。がんは7年前に発覚したのが最初だったという。5年前に治療を開始し、いったん寛解したものの2021年に再発。その後も治療を行なってきた。
治療と並行してハードな仕事をこなす日々を送っていた夏さんは、「完全復帰」を目指してある決意をした。それが今年4月の「入院」だった。そのときの様子を、具体的な関係性は明記しないという条件で、夏さんを支えてきた遺族の方に聞くことができた。書籍の仕事を超えたお付き合いをさせていただいていたことから、今回、特別に話をしてくださったのだ。その方は、夏さんと同居され、最期まで夏さんを看取ったいちばん近しい方だ。
「夏は『絶対に治すから』と誓って、最後まで復帰することを諦めませんでした。だからこそ、がんのことも治療していることも公表はしてきませんでした」(前出の遺族、以下同)
意識がなくなる瞬間まで本当に「絶対に治る」と信じていた

業務には欠かせなかった振り付けノート(画像は「Loveマシーン」のもの)
夏さんの家族も、そんな夏さんを信じて支えてきた。
「入院するにあたって、それまでの仕事はほとんどキャンセルせざるを得ませんでした。でも、『絶対に復帰する』という強い思いを何度も口にしていた夏はその証拠に、理解ある先方さまと話し合ったうえで、ひとつだけ仕事をキャンセルせずにいました」
その仕事とは、もちろんダンスに携わる仕事だったようだ。残念ながらその後、回復はかなわず夏さんは帰らぬ人となってしまったものの、その仕事をやり遂げていた。
「そんな夏ですから、意識がなくなるその瞬間まで本当に『絶対に治る』と信じていました。それは私も同じです。だから、『最期の言葉』らしい言葉はなかったんです」
夏さんは「エース」と呼ばれる人について、よくこう言っていた。「エースとは自己を確立し、自信を持ち、前に進める人」だと。「最期の言葉」らしいものがなかったと聞いて、最期まで夏さんは一切疑うことなく、前に進もうとしていたんだなと思わずにはいられなかった。