Entertainment

ダンス界の巨匠が残した「最後の言葉」…アイドルたちから“夏先生”が愛され続けた理由

病院のベッドで見せた「4500文字の贈り物」

モーニング娘。

グループ卒業後のメンバーとも共演を重ね、教え子との信頼関係を終生大切にしてきた夏さん

 ただ、この話はまだ終わらない。このブログの記事について、ひとつだけどうしても確認しておきたいことがあったので、筆者は聞かずにはいられなかった。それは、夏さんが「いつ」「どこで」このブログを書いていたのか、ということだった。 「SNSで議論が白熱しているなか、言葉ひとつ間違えるとどんな批判を受けるかわかりませんし、いくらでも炎上する可能性があるだろうことは、横から見ているだけでもかんたんに想像ができました。もしかすると、そのひと言でこれまで築いてきた信用も失いかねませんから、普通の状態でも神経をすり減らすような難しい作業ですよね。でも、もうお気づきだと思いますが……夏はその長文のブログの一語一句を、すべて病室のベッドの上で書き込んでいたんです」  とてつもない意志の力だ。じつは最期のブログの3日前にも夏さんはブログを更新している。そのタイトルは「もちょっと、待っててね♪(´ε` )」だ。最初の一文にはこう書かれている。 「書いてます… 今書いているので、もうちょっとだけ待っててね♪( ´▽`)」

最期まで「言葉」で伝えることに真摯だった姿勢

夏まゆみ

ニューヨークに留学し、ダンス修行に明け暮れていた下積み時代

 起き上がることはおろか、手を動かすこともつらかったはずだ。もちろん、集中力を保つことも困難だっただろう。その時点では、最期のブログを完成させるのにあと何日かかるのかわからなかったに違いない。なにせ文字にして4500文字以上の分量があった。そもそも完成させる力が残っているのかさえわからない。  しかし、そんな状況にあることをまったく感じさせず、『それスノ』へのコメントを待っているファンや視聴者を気遣って「待っててね♪」とブログを残していた。  教え子たちがどんな壁にぶつかろうとも、いつでも「言葉の力」で背中をポンっと押してきた夏さん。そんな夏さんだからこそ、「言葉」で伝えることに最期まで手を抜かなかった。  改めて最期のブログを読み直すと、ダンスのプロとして解説を述べながら、その節々には、なんと愛情のある言葉が散りばめられていることだろう。くり返しになるが、自分自身のことは一切書かれておらず、ただただダンスを愛する人間としての、見る人の背中を押すような「前向きな言葉」が書かれていた。
次のページ 
夏さんが最後に残した言葉は…
1
2
3
4
5
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ