「結婚するから会えない」とか言う男友達に放った“一言”。34歳女優のイケメンっぷりが最高|『いちばんすきな花』
ひとりカラオケで一人芝居
塾講師のゆくえは、男友達・赤田鼓太郎(仲野太賀)と気が置けない関係性で、カラオケに集合することを楽しみにしている。だが鼓太郎には結婚相手がいて、ここで「男女の友情は成立するのか問題」が浮上。結婚相手はゆくえとの仲をどうも気にするのだ。
それで鼓太郎はなくなくゆくえとの友情関係を解消する。一方的に解消されたゆくえは「しょうもな」と二度口にするのだが、この呟きがいい。こういう細かいところに名人芸を光らせる多部未華子。木村カエラの「Butterfly」でせめて祝福しようとする孤独な歌唱も素晴らしい。
塾の教室で生徒にそのことを話す場面では、うまく気を散らすように教室内を移動しながら事の次第を淡々と話す。淡々とはしているが、言葉にならない感情が歩調に合わせてふるえる。あの「しょうもな」が教室に響くようだ。
「みどりちゃん」なる相手に買ったガーベラも、彼女が北海道に引っ越してしまい結局あげられない。カラオケに行きつき、置き場のない花を水が入ったカップに差す。
ひとりカラオケでこれほど見事な一人芝居を演じられる俳優は、多部未華子を置いて他にはいないだろう。藤井風による主題歌、その名も「花」が多部の表情に合わせて流れるタイミングも完璧だった。
<文/加賀谷健>








