その後は足音を大きくたてない、様子を観察して優しく声をかける、意志を尊重するなどの配慮を行いながら、生活。どんな風に触られるのが好きなのか観察したり、試行錯誤しながら合う猫用グッズを見つけたりして、距離を縮めていきました。

「膝に乗ってきてくれたら、できるだけ人間側からは降ろさないことも徹底しました。4時間くらい乗せっぱなしだったこともありました(笑)」
成長を見守る中では、心に残る思い出もたくさん。奥さんが特に印象深かったのは、冬の真夜中に何回もベッドにおしっこをされ、怒ってしまった時のこと。

「夫が『チムも謝りな』と言うと、こちらを見て鳴きました。謝ってくれたのかは分かりませんが、人間の考えていることや場の雰囲気が分かるんだと伝わってきて、寝室に忍び込まれるヘマをした自分たちが悪いのに、怒ってしまうなんて駄目だったなあと反省しました」
一方、旦那さんはチムちゃんが入院した時のエピソードが心に残っているよう。お迎えから1年ほど経った頃、チムちゃんは嘔吐が続き、5日間ほど検査入院。お見舞いに行くと、小さなケージの端で身を縮めていました。

「でも、僕たちが手を近づけると、真っ暗だった目がキラキラして帰れるんだよねえ?というかのように鳴き始めたので、グっときました。小さな脳みそのどこに記憶があるんだと思えるくらい、僕たちのことはちゃんと覚えていてくれたんです」