Entertainment
Love

離婚を申し出た妻に「さんざん養ってもらった恩人への言葉か!」絶叫し暴れる夫。妻の静かな本音が夫より勝った理由

離婚の申し出にモラハラ夫の定番セリフを絶叫

妻の様子が変だと思った武は、郁子の携帯に監視アプリを入れた。そして同じ会社で郁子が働いている現場を見てしまう。 帰宅後、どういうことだと迫られた郁子は、ついに「自立したいの。離婚を考えてます」と冷静に、だがきっぱりと言う。これが武の怒りに火をつけた。 モラ夫の定番「それがさんざん養ってもらった恩人への言葉か!」を絶叫する。あらゆるものを投げつけ、花瓶まで投げて自分の足から血を流す武を、勝村政信が妙に生き生きと演じている。 家族間で決して言ってはいけない言葉「出て行け!」を口にした夫に呆(あき)れながら、郁子は子どもたちを連れて家を出た。 彼女が自立したいのは、子どもたちのため、そして自分のためだ。社会に出て初めて、彼女は「自分」を取り戻しかけているところ。洋服もメイクも、まるでバブル期のようではあるが、彼女の中身は着実にアップデートされつつある。マルチタスクをこなしている専業主婦は仕事だって優秀なはずなのだから。 時代の最先端をいっているようなほのかが、好きな男のためにひたすら我慢する旧式女だったり、専業主婦で社会を知らないと夫が決めつけている郁子が、短期間で仕事を成功させたりと、ひとりの人間を重層的に描いているのが、このドラマのおもしろさでもある。

妻の静かな本音と夫の丸出しの自尊心と

「本当と嘘、どっちが人を傷つける?」という今回のお題に、毎度おなじみとなったバーのシーンが映し出される。チーママ・MEGUMIは「自分を守ろうとする嘘は、結果、相手を傷つける。相手を守ろうとする嘘のほうがいい」とほのかを諭(さと)す。
確かに保身のための嘘は見苦しい。相手を傷つけないための嘘、相手の自尊心を守ろうとする嘘は優しい。 なんでも正直にさらけ出せばいいというものではないが、隠してばかりいても信頼関係を損ねる要因となりうる。 郁子はついに夫に本音をぶつけた。それに対して夫は、おごり高ぶった自尊心だけを丸出しにする。静かに本音を見せるときを待っていた郁子のほうが、夫より一枚上手だった。家を追い出されて子どもと3人、流浪(るろう)の民になりかけているが、郁子の人生逆転はここから始まるのだろうか。そのとき夫はどんな反応を見せるのか、楽しみである。 <文/亀山早苗>
亀山早苗
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
1
2
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ