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乳がんの手術後、夫の顔を見てなぜか絶叫した私。術後ってこんなにツラいの…?

夫の顔を見て大号泣

夫が面白がって撮影した手術直後のわたし

夫が面白がって撮影した手術直後のわたし

 しばらくして「病室に戻ります」といってストレッチャーが押されました。麻酔で頭がグワングワンしていて、ストレッチャーが動くとなんだか気持ち悪い……。  手術直後で傷がかなり痛みましたが、これでも点滴で痛み止めを入れているんだそう。この痛み止めで吐き気をもよおす人もいるので、吐き気止めを入れますか? と聞かれ、お願いすることにしました。  病室では夫が待っていました。変わり者の夫は、酸素マスクをしているわたしを珍しそうに眺め「おお戻ったか」とひとこと。わたしが酸素マスクをして朦朧としている姿をスマホでバシャバシャ撮りはじめました。  抵抗できないのを良いことにやりたい放題やってくれて、まったく悪趣味な……とぼんやり思いながらも、まだ動けないし頭も働かないしで抵抗できず、されるがままになっていました。  でも、そんな夫の顔を見ていたら、いきなりいろいろなものがこみ上げてきて、大号泣してしまいました。 「今まで迷惑かけてごめんねー! 私頑張るからーー!」みたいなことを絶叫していた記憶がうっすらありますが、なぜそんなことを叫んだのかは、いまいちわかりません(笑)。  思い返せばあれは完全に「麻酔ハイ」だったなと思います。

術後すぐから始まる苦痛の「絶対安静」

 術後から丸1日は絶対安静。ストレッチャーから病室のベッドに移されてすぐに、下肢の血栓防止のためにフットマッサージャーが取り付けられました。  一時期話題になったエコノミークラス症候群と同じで、術後長い時間おなじ体勢でいると脚に血栓ができ、肺塞栓症になりやすいんだとか。それを予防するために、マッサージャーがつけられるというわけです。  このマッサージャー、気持ちよいかと思いきや、グワン、グワンとかなり強めの圧がかかります。マッサージはありがたいけれど、ひと晩じゅう、休みなくマッサージされるので、まったく眠れませんでした。  眠いけど、寝落ちするとマッサージに起こされる、の繰り返し。術後は熱は出るわ、傷は痛いわ、じっとしてるのもツラいわ、だけど点滴も管も入って動けないわ、マッサージ機が痛いわで、スマホをいじる気にもならず、麻酔から醒めてから、夜が明けるまではなかなかに地獄でした。  長い夜を過ごし、やっと夜が明けました。 <文/塩辛いか乃 監修/石田二郎(医療法人永仁会 Seeds Clinic 新宿三丁目)>
塩辛いか乃
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako 連載「乳がんドタバタ日記」Kindleで発売中!
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