「しぼる」機能で活躍するのは、刃の中央部あたり。ここは刃付けがされていない(つまり、切れない)ので、しっかりパウチを挟んで絞り出すことができます。もちろん、誤ってパウチを切ってしまうこともありません。

刃の中央部で絞る
画像のようにパウチを挟んで、絞り出していきます。このときの気持ちよさったらなかったですね。刃が下に降りていくにしたがい、袋内に残ったカレーがお皿にドバドバ舞い降りるから。
ハサミで挟んで通り過ぎた箇所には、あきらかになにも残っていないです。『れとらくはさみ』が通った後には草木も残らない……と表現したくなるような根こそぎっぷりというか。
この機能を万全にするまでには、厳しい道があったそう。再び、青木さんに伺いました。
「『つかむ』機能だけを意識して掴む力を強くすると、絞る際に刃の滑りが悪くなってしまいます。刃先で掴む力は強くし、絞る際は刃の中央部を滑るようにしなければならない。この2つの機能の両立が非常に難しかったですね」(青木さん)
なるほど、微妙なさじ加減が利いているわけですね。
れとらくはさみ開発のきっかけとして、昨今のレトルト食品のブームがあるそうです。
「コロナ禍の巣ごもり需要をきっかけに、レトルト食品の消費量がここ数年伸びてきたというデータがあります。加えて、レトルト食品以外にベビーフードやペットフードの包装形態がパウチへ移行した事例も増えており、それらを絞り出すためにれとらくはさみを活用される方が多いみたいです」(青木さん)
なるほど、いろいろと使い勝手は良さそうです。たとえば、洗剤や柔軟剤の入れ替え時は絞り残しを少なくしたいもの。そのタイミングに、このハサミを使うのもアリでしょう。

洗剤の絞り出しに使うのもアリ
「これまでは、最後まで絞ろうとして手が汚れてしまったり、かと言って絞りきらないのももったいないという裏腹なところがありました。でも、れとらくはさみを使えば“絞るだけ絞ったぞ”“やりきった!”と、気持ちも一区切りできます(笑)」(青木さん)