“わが子が嘔吐する動画”をSNSに投稿した母親の後悔。いいね稼ぎに暴走して失ったものは
SNSに子どもの動画や写真を投稿する「子育てアカウント」。多くが子育て情報やおすすめグッズなどママパパに役立つ情報を発信している一方で、中には投稿内容が“危険”と思われるアカウントも存在します。
子どもの裸や排泄シーンのようなプライバシーを侵害し子どもを危険に晒す投稿のほか、子どもの「泣く・怒る」といった感情的な場面を延々撮影し、投稿しているアカウントも。見ているとかわいそうになってきますが、こうした投稿の背景にはどういった問題があるのでしょうか。
子どもの写真や動画をSNSなどに投稿する際、親が気をつけるべき「人権意識」について、公認心理師の芙和せらさんにお話を聞きました。
【前回の記事】⇒「泣いている子どもの動画を撮る親」がなぜ危ないか。子育てアカウントの“不適切な投稿”たち
【前々回の記事】⇒「トイレで排泄するわが子」を動画で公開する親たち。コメント欄で“恐ろしいこと”が起こっているのに
――数分以上にわたり、泣いている子どもの様子をSNSに投稿したアカウントを見かけます。中には、わざと子どもの嫌がることをして泣き叫ぶ姿を撮影した動画も。これらについてどう思われますか?
芙和せらさん(以下、芙和)「……児童虐待の悲しいニュースが後を絶たないですよね。捕まった犯人のスマホから、虐待を受けて泣いている子どもの動画や写真が押収されることが多々あります。寒い日にベランダに立たせて、震えている子どもを撮った動画がスマホに入っていたなどと、よく報道されていますよね。
『虐待している様子を撮るのと、子どもの泣き顔を撮るのとではわけが違う』と思うかもしれませんが、泣いている子どもに笑いながら何分もカメラを向け続ける行為も、構造としては近いものがあるのではないでしょうか。
考えてみてください。辛くて泣いている顔を『楽しいもの』『かわいいもの』として撮影しているんです。泣いている子どもにカメラを向け動画を撮り始めた時点で『私の感覚、ちょっと間違ってるかも……』と一度立ち止まってほしいです」
――泣いたり怒ったり、感情を出す動画の方が見ている人の共感を集めやすいから、SNSに投稿している親もいるかもしれません。
芙和「もしも視聴者数やいいねを集めるために、子どもの泣く姿をSNSに投稿しているのだとしたら、それは『子どもを売っている』という状況です。厳しい言い方かもしれませんが、子どもの人権を侵害する行為ではないでしょうか。
そういった意識もなくやっているのだとしたら、子どもへの共感力がないことに、危機感を覚えてほしいと思います。『辛い時、守ってほしい親にカメラを向けられたらどう思うか?』『泣き顔をSNSに投稿されたらどう感じるか?』……子どもに共感ができていたら、取らない行動だと思うのです」

写真はイメージです(以下同じ)
「私の感覚、ちょっと間違ってるかも」と立ち止まって
