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孤独死の現場で「こんな仕事でお金もらってるとはねぇ」と嫌味を言われ…。特殊清掃員の31歳女性が体験したリアル

 うず高くゴミが積み上がったゴミ屋敷、孤独死を迎えて家主のいなくなった住宅へと立ち入る特殊清掃業。東京都大田区を拠点とする清掃会社、株式会社ブルークリーンの武田美咲さん(31歳)も、過酷な現場に身を置く一人です。
ブルークリーンの武田美咲さん(31歳)

ブルークリーンの武田美咲さん(31歳)

 さまざまな人間ドラマも垣間見える現場では、じかに「邪険な対応をされること」もあるといいます。お仕事の実情、キャリアなどを伺いました。

異なる業界業界の営業職から転身

 2022年6月に、清掃業界へ転職した武田さん。前職は畑違いの営業職で、2社を渡り歩いたといいます。 「最初は特殊清掃スタッフとして入社し、現在は、フランチャイズ事業を担うスタッフとして、加盟店オーナー向けに現場で清掃ノウハウをレクチャーしています。営業職での経験も役立っているんです。  以前は証券会社、医薬品卸業で働いていて、証券会社時代は電話営業で1位の成績を獲得したこともありました。医薬品卸業では得意先を回るルート営業で、両方の経験から『清掃現場と営業の両方を経験したメンバーはいない』と言われて、今の仕事を任されるようになりました」

友人が殺人事件の遺族になり、特殊清掃を知る

武田さん 営業職からなぜ、畑違いの清掃業界へ転職したのか。背景にあったのは、武田さんの友人が殺人事件の遺族になったことでした。 「医薬品卸業の会社で働いていた当時、友人の母親が父親に殺される事件があったんです。事件現場となった自宅を『片付けなければ』と相談されて、初めて特殊清掃の仕事を知りました。興味を持ったのは、友人から『特殊清掃業者にずさんな対応をされた』と聞いてからです。  私も、特殊清掃の現場にも立ち会いましたが、当時のスタッフが玄関先で笑いながらタバコを吸っていたのも覚えています。事前の見積もりも改めて確認すると『作業一式』と書いてあるのみで、内訳も何もなかったので、不信感もありました」  その後、興味本意で見た現在の勤務先のYouTube動画が、転職のきっかけとなったそう。 「特殊清掃業界の裏側も明かすYouTube動画が響いて、根っから好奇心旺盛な性格でしたし、転職しようと思いました。じつは当時、医薬品卸業の会社時代は長野県で暮らしていて、遠距離恋愛中だった現在の夫と結婚して、東京へ引っ越すのも重なったんです。夫は最初こそ特殊清掃業への転職に驚いていましたが、興味を尊重して『やってみればいいじゃん』と後押ししてくれました」
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現場できつい言葉をかけられることも
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