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「育児デマ」で批判殺到の絵本作家・のぶみ。それでも熱烈支持する地元ママ勢から“敵認定”された女性の後悔

晴子さんには、子どもたちの保育園時代に事故で亡くなったママ友がいる。家族ぐるみで親しくしていたので、胸を痛めながら残された子たちの悲しみを間近で見守っていた。当然晴子さんの子どもらも「友だちのママが亡くなった」と、不安定になった。死をはじめてリアルに感じ、夜中に泣き出したり、親と離れることをいつも以上に怖がったり。 そんな状況で「ママおば」を読ませたくないと思うのは、妥当な判断だろう。

支持者の結束が固い地域性

巷(ちまた)でも、この作品によって「子どもの不安症状が強くなった」実例があるとして、2019年には「絵本『ママがおばけになっちゃった!』の対象年齢引き上げを望む会」が発足している(出版社による絵本の対象年齢は3歳からとされている)。 親を亡くすという子ども向けの物語は世にたくさんあるのだが、たしかに他の作品と比べると、のぶみ氏の作品は少々(だいぶ?)配慮に欠けた展開や描写が多いように感じられる。 晴子さんのそうした事情も周りはよく知っていたはずなのだが、思いのほか「のぶみ支持者」の結束が固かった。さながら、のぶみ軍団だ。 絵本作家のぶみ202401「私が住んでいるのは、そもそも怪しげなものとすごく親和性が高いというか……すぐに感化されてしまう、いわば沼深い地域なんです。大きな産業があり専業主婦率が高く、それなりに裕福なお宅も多い。にもかかわらず、オーガニックで町おこしをしようとしている土地でもあるので、微妙な意味での“意識高い”人たちが集まってきています」

どこに地雷があるかわからない

晴子さんの地域では、こんなママグループが精力的に活動しているという。 ・自然派出産を推奨するグループ ・自然を謳(うた)ったマルチ商法チーム ・「森の幼稚園」などのオルタナティブ教育関係者 ・民生委員を中心とした反ワクチングループ ・セクシャルなスピリチュアル商法を広める主婦グループ ・反医療医師を支持するチーム ・オーガニック給食を広める活動家 絵本作家のぶみ202401「どこへいっても、そうした人たちの集まりに遭遇します。自然派マルシェなんかには、特に集中的に集っていますね」 それらに賛同はできない晴子さんも、「そうした色の強い土地だから」と日々発言には気をつけていたという。どこに地雷があるかわからない。のぶみ氏についても同様である。しかし子どもを心配する気持ちから、ふともらした一言で地雷を踏み抜き、「敵認定」されてしまった。
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陰謀論者やカルト集団にも共通する「あるある」
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