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「育児デマ」で批判殺到の絵本作家・のぶみ。それでも熱烈支持する地元ママ勢から“敵認定”された女性の後悔

のぶみ軍団の多くは、“のぶみ氏の支援者である土地の有力者を支持したいから”という人が多いものの、なかには氏の発言を鵜呑みにすることで、トラブルにつながることもあった。 こんなエピソードもある。よく泣く子どもに困り果てたママに、のぶみ軍団のひとりがこう言ったのだ。 「この前Instagramで見たんだけど、赤ちゃんが泣く理由で一番多いのは、ママと一緒にいたい! なんだって。もっと遊んであげなくちゃ」

虐待されて死ぬ子は…

これはのぶみ氏がInstagramで「赤ちゃんが泣く理由で一番多いのは、ママと一緒にいたいから」と発信していることからだ。一連の投稿は新生児科医によって「全部デマ」と否定されたが、対面で突然こう言われた母親は「自分のせいで泣いている」と心を痛め、さらに追い詰められていく。 絵本作家のぶみ202401のぶみ氏は、Instagramなどで根拠のない育児情報を発信することもよく知られており、これもそのひとつである。 縄文時代に関しては陰謀論的な情報を、胎内記憶(たいないきおく※2)というジャンルでは「虐待されて死ぬ子は親の魂を成長させるために生まれてきた」「病気のマルを選ぶ子は、病気をもって生まれても大丈夫なママをえらぶそうだ」など。 (※2 もともとは「胎児が母親のおなかの中にいたときの記憶」のことだったが、最近では「魂が空の上にいたときの記憶」や「前世」「宇宙」といったスピリチュアル色濃厚な世界観の発信が目立つ。)

支持の根が深いところにまで

「LGBTQ」も、自分で決めて生まれてきた、と発信されている(理由は“ホントの自分を生きるのを思いっきり追及するため!”だそうだ)。どれをとっても全方向にチャレンジャーである(ちなみにどの投稿も、批判的なコメントを書き込むと、弁護士に依頼して開示請求すると宣言されている)。 根拠がないことを書く場合、のぶみ氏は、これはあくまで自分の想像の話、子どもたちから聞き取った話、と前置きしてはいるが、影響力のある立場で発信していることを自覚する必要がありそうだ。 絵本作家のぶみ202401「どっぷりとのぶみ軍団と関わっていない人でも、どこかで誰かがうっすらつながっている。最近では防災活動の団体やオーガニック給食支援者にもつながりが見られます。そうして行政の子育て支援の現場などに入り込んでいくのを見ると、“土壌汚染”という言葉が浮かびますね」 暮らしの場にいろいろな思想の人が集まるのは当然であるが、子どもに悪影響を及ぼすものや、悩める母親を追いつめる可能性が高いものが濃厚に混ざり合うのはいただけない。 それでも沼の中で暮らす以上はその違和感を口にできず、子どもたちの心のケアと周囲の地雷に、神経を張りめぐらせるのが晴子さんの日常だ。 <取材・文/山田ノジル>
山田ノジル
自然派、○○ヒーリング、マルチ商法、フェムケア、妊活、〇〇育児。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のない謎物件をウォッチング中。長年女性向けの美容健康情報を取材し、そこへ潜む「トンデモ」の存在を実感。愛とツッコミ精神を交え、斬り込んでいる。2018年、当連載をベースにした著書『呪われ女子に、なっていませんか?』(KKベストセラーズ)を発売。twitter:@YamadaNojiru
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自分が身内が友人が沼ったご体験談を募集中です。当連載における沼とは、科学的根拠のない健康法やマルチ商法、過激なフェムケアや自然派思想など、主に健康問題に関わるものにハマることを示します。「女子SPA!」のお問い合わせフォームより、題名に「沼の話」と入れて、ぜひお気軽にご連絡ください(お返事に時間を頂戴する場合もあります)。
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