
それでも基本は変わらず、安定の童顔。これを最良の武器とすれば、割と最低キャラでも可愛く映ってしまう。本人がどれくらい意識しているかはわからないが、あざとさ満点に振り切る路線は功を奏している。
グッと最低に、ズズッとあざとい方向へ推し進めるとどうだろう。その先に導き出されるのが、もっともタチが悪く、獰猛な不倫男役だ。これは想像以上に適役だった。
『ギルティ~この恋は罪ですか?~』(読売テレビ、日本テレビ、2020年)では、最初こそよき夫に見えたが、実際は外で不倫に明け暮れている。家庭内での姿があまりにも優しいものだから、視聴者はそのギャップに驚いた。これこそ、小池徹平がたどり着いた最高の小悪魔的な演技だなと思った。

同作をきっかけに俄然、不倫キャラはイメージづく。伊藤淳史が妻の不倫を暴こうとする『離婚しない男』では、小悪魔どころか、より悪魔的な怪しい色気で視聴者を翻弄する。こんな小池徹平もありなんだな……。と、妙に納得してしまう背景には、不倫ドラマの放送事情も関わってくる。
このところ、どうも不倫ドラマがブームらしく、2023年10月期に限れば、合計4作の多種多様な作品がこぞって放送された。ただ基本は、妻側が不倫される立場で、夫の不貞を暴くというもの。
まるで不倫は夫の権利だと無意識的に表明してしまっているかのよう。ときには妻側の濃厚な不倫ドラマも見たい。そしてそれに絶望する夫が、どう行動するのか、観察してみたいというところに、本作がちょうど放送されたのだ。