慶應義塾大OBの34歳三代目JSBメンバーが、NHK番組で母校を訪ねた“意外なワケ”
今、この時代に出演した意義深さ
この身を投じるという感覚が大切だ。どれくらい大きな夢を抱いても、あるチャンスに対してそれをチャンスと思えなければ夢は絶対につかめない。それは、怖いし、勇気もいる。 だけれども岩田は、「今だ!」とばかりに後先関係なく飛び込んだ。内定は蹴ったけれど、自分が思う夢をつかんだ。ダンスサークルに心血を注いだ塾生時代にしろ、三代目JSBのパフォーマーから俳優、ソロアーティストの立場としても同じこと。 今を全力で生き、今をつかむ才能に優れた人。それが岩田剛典じゃないかと筆者は強く思う。だから今、この時代に戦争について考えるために、岩田が意気込んで番組に出演したことの意義深さがある。
感情を抑える固い覚悟
戦禍を紐解く足がかりとなるのは、小泉が戦中に書き記した日記。岩田が文面に注ぐ視線からは、そう簡単に手を触れてはいけないといった配慮と敬意を感じる。塾長として塾生だけではなく、断腸の思いで息子を戦地に送り出さなければならなかった。 息子が戦死してもなお、残された家族を勇気づけようとする家庭人としての小泉の人物像も、岩田のナレーションによって浮き彫りになる。関係者の家族の自宅を訪れ、アルバムの一枚一枚に静かな視線を落とす。 戦争体験者であり、慶應大卒の祖父を持つ岩田は何を思ったのか。でも決して感情は見せない。心の中では涙をにじませる瞬間もあるかもしれない。それを流すまい。あえて感情を抑えることで、戦争と今向き合うことのリアルと岩田の固い覚悟が伝わる。