車内に取り残された朋美さんは周囲の視線を感じたものの、そのYくんの行動に密かに感動を覚えていたと言います。

写真はイメージです
「なんか、頭の中で東京ラブストーリーの主題歌だった『ラブストーリーは突然に』のイントロが鳴り響きましたもん。トゥクトゥトゥーンって(笑)。ああいう男らしいところもあるんだって、初めてちょっとYのことをカッコいいじゃんって思っちゃいました」
そう感じたのはK子さんも同じだった模様。K子さんはタクシーを使って帰宅することもなく、そのままYくんの自宅に泊まりました。
後日、2人は晴れて付き合うことになったそうです。
「
2人はそのままゴールインしました。先日ご自宅にお邪魔して、生まれたばかりの息子さんを抱かせてもらったのですが、この幸せな家族はYのあの咄嗟の行動が始まりだったのかと思って感慨深くなりましたね」
改めてK子さんにYくんの良さを尋ねたところ、やはり「
変なところで男らしさを発揮するところ」と答えたとか。一歩間違えれば女性にトラウマを植え付けかねませんでしたが、あの日、あの時、あの場所で、彼が強引にK子さんを連れ去らなければ……2人が結婚することはなかったのかもしれません。
―シリーズ「
忘れられない出会いと別れ」―
<文/もちづき千代子 イラスト/とあるアラ子>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】もちづき千代子
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:
@kyan__tama